今年(2017年)の走り納めは、ランナーからの評判がいい奈良マラソンに決め参加してきました。
まず奈良マラソンを語る上で切っても切れないのが坂道です。ひっきりなしに現れるアップダウンは全国屈指の厳しさです。
ドMなランナーは一発で惚れてしまうこと請け合いコースです。
実際に走ってきた感想は、フルマラソンの括りなら出場したどの大会よりも奈良はタフなコースでした。
しかし私が抱いた感情はその厳しさだけではありません。このコースは他の大型大会のコースより辛いけれどとても楽しいのです。
私は幾多の大会に出場し、様々なコースを走ってきました。
その中で、純粋にこれ程までに走っていて楽しいと感じたコースはありませんでした。
きっと楽しいは、飽きないと言い換えられます。変化に富んだコースは42キロ飽きがなく、走っている時間全てがアッと言う間でした。
「楽しい」、「飽きない」と思えたこと、それはきっと私自身がフラットで記録が出やすいコースよりも、アップダウンがあるコースを好み、自己ベストを更新してきた経緯があるかもしれません。
まあそれはさておき、この記事が2018年以降、奈良マラソンに参加する方々の参考になれば幸いです。
※今回は写真を多数撮ったので意図的にたくさん掲載しています
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目次
奈良マラソンの運営について
最近のベテラン大会にもなると、運営面で大きな不満を抱く大会はまずありません。
もちろん今回参加した奈良マラソンもそれに漏れません。
例えば自宅へ届くパンフレットは秀逸です。
私はどの大会も会場図、コース高低差、大会進行のタイムテーブルなど、ある程度しっかり予習して本番に挑むのですが、読みやすく分かりやすいパンフレットのおかげで容易に作戦が練れました。
EXPOへ行こう
全国どの大会も前日受付は不評です。マラソン前日にランナー目線で無意味な移動は勘弁願いたいものです。
奈良マラソンも大阪や京都近郊に住まわれている方々にとって不便だったと思えます。
私は関東からの参戦なので、どのみち宿泊が必要なので諦めがつきます。
半日以上かけてわざわざゼッケンだけを取りに行く行為は時間の無駄と思わざるを得ません。
納得いかないランナーは多いもので、ランナー視点だと前日受付にどれほどの価値があるのかいよいよ考えものなのです。
しかし、この奈良マラソンは幸いにもEXPOが充実しています。特に物販の種類が豊富で訪れる価値は十分にあります。
普段私はレースで使用するアイテムを前日に購入することは稀ですが、お気に入りのR×Lが出店していたのでメリノウールのソックスと手袋を新調してレースで使用しました。
安心のメーカーで、使用感がベストフィット、これらは記録更新の手助けになりました。
また、飲食の出店が充実していて、お酒の販売もしています。前日はレース中の脱水を引き起こす可能性があり、程々にしておきましょう。
レース後は、一緒に走った仲間や応援してくれた家族と共にあります。
その方達と飲む格別な1杯は何事にも代えがたいものです。
スタートまでの流れ
概ねスムーズで私個人としてはストレスフリーで全く問題ないと感じました。
ランネットの口コミによると、奈良マラソン不評ポイントがトイレに関することなのです。
「トイレの数が少ない」、「トイレの列を整理するスタッフが必要なのでは?」との書き込みが多く散見されました。
しかしこれはどの大規模大会だって聞かれる不評です。
まずは自分自身ができることを
私はスタートブロックの前列を確保するために、どの大規模大会でも他ランナーより早めの行動を心掛けています。
なぜなら早めに動けばトイレの不満はほぼ解消されるからです。
そのため、この手の不評は私には理解できません。
限られた予算、人員、敷地でマラソン大会は行われるものです。
用を足すために長蛇の列に並んだらブロック閉鎖の憂き目にあったり、スタートブロック閉鎖が近づき仕方なくトイレを済まさずスタートし、直後にトイレでタイムロスするなどはよく陥りがちなパターンです。
記録を狙っているランナーならそれらを毎回頭に入れておく必要があると思います。
スタートを何の不満なく迎えたり、ゴールしてから何事もなく家路に就くまでには、運営側に文句を言う前にまずは主体的な行動を起こす必要があると私は深く思います。
スタート前の寒さ対策|奈良の12月の気温の平均値
12月の奈良は盆地だけにとにかく超寒いです。
最低気温は0℃くらいで最高気温は10℃前後までしか上がりません。これは関東でいうとまさに真冬です。
この気温下で最大の問題は、着替えてから手荷物を預け、更衣室を出てからスタートまでの時間をどう防寒するかです。
2019.5.14 追記:過去から学ぶ
2019年開催日である12月8日の過去10年の気温(奈良市)を調べてみました。
2019年に奈良マラソンを走るランナーは必見です。
奈良市過去10年の最高気温・最低気温(℃)
最高気温 | 最低気温 | |
2009.12.8 | 13.1 | 1.0 |
2010.12.8 | 12.0 | 3.3 |
2011.12.8 | 10.5 | 8.3 |
2012.12.8 | 9.9 | 0.9 |
2013.12.8 | 11.1 | 1.6 |
2014.12.8 | 12.2 | -0.8 |
2015.12.8 | 14.8 | 0.9 |
2016.12.8 | 12.7 | 3.1 |
2017.12.8 | 8.2 | 1.4 |
2018.12.8 | 10.2 | 3.4 |
平均 | 11.5 | 2.3 |
※気象庁のデータ参照
2019年奈良マラソン開催日は過去10年の平均値で見ると、かなりマラソンに適した気温を示しています。
おそらく盆地ならではの気候なのでしょう、朝の寒ささえしのげば十分ベスト記録を狙える気温条件です。
やはりアップダウンがキツイからと諦めるのにはもったいない大会と言えます。
※2020年大会はコロナの影響で中止
ここまで防寒すれば真冬でも寒くない
今年最後の勝負レースでブロック前列確保を狙うために、極寒の中スタートまで気合いで50分ほど並びました。
その時の気温は4℃だったと思います。
極端な寒がりの私がとった防寒対策は下記の通りです。
参考
- 貼るカイロ(首、腰、手で握る用の3個)
- ジャージの古着(上着)
- 100円ショップの雨合羽2着
- 公式のポンチョ(無料配布)
《レース着はランシャツ、ランパン、ソックス、脚と腕ゲイター、グローブ、ランキャプ》
「オイオイオイ、それは着過ぎだろ」と思うかもしれません。
見た目で着膨れと分かるくらいに厚着でしたので結構恥ずかしい思いです。
しかし体温的に全く寒くなく、スタート5分前に脱いだので体が冷え切る前にスタートできました。最初の1キロ目からレーススピードで走れたのは着込んだおかげです。
きっと日本全国の私並み寒がりランナーにとっては参考になると思います。
それぞれの工夫
奈良マラソンは公式でスタート前に防寒着の古着回収をしている数少ない大会です。
皆さん100円カッパや公式ポンチョ以外に、古いジャージ、厚手のセーター、パーカー、バスローブを着込んで防寒していました。
各自の色々な工夫が見て取れてとても面白くも参考になったものです。
コース戦略|それは坂対策
高低図、コースVTR、出場経験がある方のブログを参考に、かなりの時間をかけコース戦略を熟考してみました。
分かり切ってることですが、奈良マラソンのコース戦略は坂対策と言っても過言ではありません。
上り区間
基本に忠実に、前傾姿勢で小刻みな歩幅のピッチ走法が有効です。
上りのどの区間も決して力んではいけません。平地区間と同じペースで上ろうなんて思わないことです。
これは普段の坂道練習が有効です。
自分が思っている以上に坂道では、失速していないことをガーミンの練習記録から知りました。
マイペースです。
下り区間
ストライドを伸ばして一気に下っては後半まで脚が持ちません。
コツは自分自身が大木になったとイメージすることです。体幹を意識し、そこに手脚が付いていて、重力に身を任せ、脚が勝手に動いている感じです。
これなら身体に負担が少なく、なぜか自然とスピードが出ます。
(ルートラボより)
※サービスは2020.3.31終了
上り+下り=平地並み
幸運なことに奈良マラソンのコースは、上った距離とほぼ同等な距離を下る区間が多いので、上り下りでタイムをイーブンに持っていきやすくなります。
皆さんが言うようにベストタイムを狙えづらいコースでは決してないです。
自分のガーミン記録を分析すればわかります。タイムにして上り区間で約10%のビハインド、下り区間で約10%のアドバンテージで走れます。
つまりそれは平地並みの平均ペースで走れることを意味します。
キツイ上りに差し掛かると体感的には明らかに遅く感じます。しかしそこで焦ってはいけないのです。
その分は下りで上記の走りができれば挽回できると信じて走ってみて下さい。
- 上り→前傾姿勢で小刻みな歩幅のピッチ走法
- 下り→重力に身を任せ、脚が勝手に動いている感じ
奈良マラソン、コースを3分割
コースの特徴を踏まえて、私なりにですが3つの区間に区切ってみました。
(スタート〜16キロ)
このコースの前半の17キロ区間は、大部分がフラットですが非常に重要な区間です。
どのマラソン大会でもスタート直後の入りは重要ですが、ここで想定ペースにつけて、来たるべき坂道の準備を心身共にし、いつも以上にリラックスを心掛けるのです。
ここがポイント
・スタート直後の下り坂はスピードが出てしまうのは仕方ないです。でもここで、この日の調子をしっかり確認しておきましょう。調子を確認してその日の細かいレースプランを立てるのです。また、体力が有り余っている状態なので想定ペース以上に速くなりがちです。ここでは自制心が試されます。その抑えが30キロ以上に生きるのです。
・近鉄奈良駅から奈良公園までの坂は見た目は大きく立ちはだかる上りですが、ウォーミングアップと思い前傾姿勢で歩幅小刻みなピッチ走法ならサクッと乗り切れるはずです。
(17キロ〜33キロ)
いよいよ本丸登場で、ここからコースの表情は豹変します。奈良マラソンでキツイ坂道が襲いかかり始めるのがこのポイントからです。
ここがポイント
・焦る必要は全くありません。上記の走り方を意識して走れば超アップダウンも、キツイながら快調に走れるはずです。下りもあるのでイーブンであれば御の字です。
・個人的には白川大橋から坂を下って一息つくはずの天理地区の緩やかなアップダウンが集中力が抜ける区間なのでとてもきつく感じました。
(34キロ〜ゴール)
いよいよ終盤ですが奈良マラソンは最後まで楽に走れる区間は訪れません。
ここがポイント
・ゴールまで8キロ、残り距離もいつもの練習からイメージできるところですが、「またかよっ」ってくらい嫌らしく小刻みなアップダウンが続きます。ここまで来ると脚は相当疲弊しています。だからこそ、上りはピッチ走法、下りは重力走法、あとはメンタルをしっかり持ってゴールを目指しましょう。
・残り3キロくらいから訪れる下り坂、普通のフルマラソンならこのままゴールまでスパートに入るところですが、やっぱり奈良マラソンはそれを許してくれません。残り1キロがえげつないロング坂道です。傾斜的には許容範囲ですが、脚が残っているランナーは殆どいないはずです。ここは「これが正真正銘の坂ラスト!」という頑張り+ピッチ走法で上り切りゴールを迎えましょう。
奈良マラソンの評判(口コミ)まとめ
ランネット口コミより 2017.12.22現在
良い口コミ
- 無茶苦茶経験値が上がるコースで速くなりたい方にオススメ
- 38キロ過ぎで鹿が悠々とコースを横断、これが奈良
- 今年はABブロックのランナーは武道館が割り当てられ、暖房が効いて非常に快適
- 昨年まで荷物預けが大混雑だったけど今年は動線が改善
- 運営側が前回の反省を次に生かそうとする姿勢がとても分かった
- 世界遺産を、日曜に借り切って走れる大会はあまりない
- 疲れた体にマッサージや鍼灸も本当にありがたい
- スタート待ちの時に捨ててもよい衣類を防寒具として着用できる
- ボランティアの方々がコース上に等間隔でゴミ袋を持っていてくれる
- 古都奈良で修行をしてきた感じ
- ゴール直前の上りは根性を試される
- ゴール後にはタオル、メダル、バナナ、ヴァームウォーター、お茶、おかき、水、プロテインゼリーと持ちきれないくらい頂ける
- スタート時に配布されるポンチョがグレードアップしていて、持って帰りたいくらい
- 防寒用ポンチョは使い捨てには勿体無く、販売されていたら絶対買っている
- スタート前の無料ポンチョには、袖あり、帽子あり、長さあり、キャラ印刷ありで持って帰りたかった
- 古着回収で寒さ知らずのスタートブロック
- ゴール後にボランティアの娘が積極的に、写真撮りましょうか?こんな大会他にない
- 全国屈指の坂攻略コース
- 朝、高の原駅からの無料バスは長蛇の列でも余裕で会場入り
- お風呂への無料バスもある
- EXPOが充実、地元企業や自治体もブースを出していてサービスも良い
- スタートの整列はゼッケンをしっかりチェックで管理されている
- とにかく毎年改善が重ねられているところに大会運営の真心を感じます
- そうめんは最高の茹で加減で錦糸卵や刻みネギも入っていてクオリティが高い
- ゼッケンにニックネームを入れられその名前で応援してもい励みになった
- 有森裕子さんのテンションが高い
- 走った後の足湯は最高のおもてなし
- スタート前にぜんざい、奈良公園で鹿、ゴール後にほうじ茶とおかき、「実に奈良だな」と愛すべき大会
- エイドではテーブルの数をカウントダウン方式で明示してくれ取り損なうことがない
悪い口コミ
- 帰りの駅までのバスの本数が少ない
- 奈良公園でフルと10キロの部が共用コースで走る区間が混み合うので10キロを先にスタートさせるべき
- ブロック分けはロープではなくフェンスにして割込み防止してほしい
- 完走後にぜんざいが食べたい
- トイレの場所と混み具合情報をもっと小まめに発信してほしい
- 更衣室への入場で靴を脱がさないでほしい
まとめ
記録重視のシリアスランナーで、坂がキツいからって奈良マラソンを避けていませんか?
このタフでチャレンジングな、そしてテクニカルで楽しいコースは決してまぐれで記録は付いてきません。そして相当な走力がなければ満足した走りとはならないでしょう。
分かりづらかったと思いますが、私が言いたい走力とは、達成感を得るために求められる走力です。
ただ単に速いタイムでゴールできる走力という意味ではなく、迎えたゴールでどれだけ満足感を得られるかの走力です。
例えばサブ3だとかサブ4だとかはではなく、派手に仮装したとしてもゴールまで歩かずしっかりと走り切り、マラソンそのものを十二分に楽しめればそれでいいのです。
それでいい
そのために自分なりのフィジカルとメンタルを強く持ち合わせていないと達成感を得るのは難しい、と言えます。
個々人が持つ走力がトータルで問われるのが奈良マラソン
です。
奈良マラソンは1番綺麗な大会
奈良マラソンで特に印象に残ったことは、給水所を含めコース上に目立ったゴミがほとんど捨てられてなかったことです。ランナーのマナーが奈良マラソンだけ良いはずは当然ありません。
その答えは、ボランティアの方々が落ちてるゴミを見つけると積極的に拾っているからです。
それだけではないのが奈良マラソン、ゴミを拾うまでの行為が実に素早いのです。
だから綺麗な印象が残るのです。
全国各地の大会でもそういったボランティアの方は何人かはいます。ですが、少なくとも私が見た限りでは奈良では全員です。
もちろんこんな大会見たことありません。
いや〜また参加したい度
私が今まで参加してきた大会の中でベスト記録を出したこともありますが、5本の指に入る印象深く満足感が大きい大会でした。
来年以降も訪れたことがない県のマラソンに積極参加(全県制覇が目標)する予定ですが、そんな中でも奈良マラソンはもう一回出場したいと心底思えた大会でした。
(5段階評価)
さあ奈良マラソン参加を決意したらクリック合戦の準備をしましょう。↓
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