東京のど真ん中に鎮座する皇居周回コースは、皆さんもご存知の通りランナーの聖地と呼ばれています。
いつ何時どの時間に行ってもランナーがいる不思議な空間、そんな皇居ランを語る上で切っても切り離せない存在がランステ (ランニングステーション) ※です。
都心に生活拠点があり皇居コース=ホームコースというランナーは極少数派、たいていのランナーが仕事帰りや練習会への参加、仲のいいグループでの集まり、そして個人走で皇居を訪れているかと思います。
手荷物預けとラン後にさっぱりシャワー (お風呂) を利用できる場所がランステですが、皇居周辺に数多く点在するランステの中からどこを利用するか結構悩ましいものです。
自分のお気に入りのランステを探すのも楽しみの一つですが、記事前半では皇居ランのあれこれを中心に、後半では主に利用している2ヶ所を中心に紹介してみたいと思います。
※ランステ機能を備える銭湯を含む
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ベースキャンプみたいなランステ
ランステは簡単に言えば、着替え場所とシャワーを確保したいランナーの要望に応えてくれる場所です。
手ぶらでぷらっと立ち寄れば、シューズ、ランパン、ランシャツ、タオル等を借りられ、サッと走りに行ってサッパリ帰宅できのですから大変重宝する施設です。
走る予定はなかったけど急に走りたくなったり、せっかく東京に出張へ来たのだから皇居を走りたいと急に思い立っても大丈夫です。こんな便利な施設が皇居周辺に数多く点在しているのですから、皇居ランナーが増えるのも頷けます。
ただし、そんな皇居のランステでも何回か利用してみるとメリット、デメリットが透けて見えてきます。
皇居周辺のランステのメリット
着替え場所とシャワーの提供
これがないと皇居ランが成立しないランナー多数、走った後は汗を流すのが当たり前を考慮すればランステに求めるものは自ずとこれになります。着替え場所とシャワーの使いやすさやコンパクト性を持ったランステ施設が好まれます。
観光ランにも最適
皇居ランにとどまらず、築地、浅草、上野、渋谷、新宿といった東京都心部への観光ランニングに使い勝手が良いのがランニングステーションです。東京マラソンコースを辿りながらの浅草雷門までのランニングは特におすすめコースのひとつです。
浅草・雷門
ランステのデメリット
混雑している
せっかく来店したのにこの混雑具合は何なの?・・・日や時間帯によっては相当混み合います。特にマラソンシーズン (9〜4月) 平日の夕方から夜にかけては入場規制される場合があるから厄介です。走り終えたらすぐにシャワーを浴びたいところですが、そこに待ち受けるのはシャワー待ちの行列なんてことはざらです。
ロッカーが小さい
ランニング用品に仕事用具、旅行鞄もあるのにロッカーが小さい・・・入らない荷物を無防備にロッカーの上に置くことに、これでは防犯上安心して走りに行けません。私は銭湯では空いていればロッカーを2つ使ってしまいますが、ランステではキーを受け取る都合上、一人一つが原則ですのでフロントに預けるしかありません。
更衣スペースが狭い
限られた建物スペースを使って運営されるランステや銭湯、混んでる時間帯にはその狭さからランナー同士お互いに気を遣って着替えなくてはなりません。でも混んでいる時間と真逆、平日お昼前はガラガラなんです。
シャワールームが少ない
誰もいない時間帯が存在する反面、混雑する平日夕方や休日はシャワー待ちを覚悟しなくてはなりません。
洗面台・ドライヤーが少ない
おそらく施設スペースや予算の都合で削ったのでしょう、もう2、3は増やしてもらいたいところです。大抵は混んでいない時間が占めるので、2台あれば十分回せてしまうので仕方ないところです。
日比谷ラフィネNeo店
皇居ランについて (メリット、デメリット)
夜の桜田門
ランステにメリット・デメリットがあるのなら、当然皇居ランそのものにも良し悪しがあります。何十回と走った経験から、気になった点をいくつか挙げてみました。
皇居ランのメリット
信号待ちで足止めがない
真冬に信号待ちにより体が冷やされたり、1度立ち止まる事でペースが乱れてしまった経験をお持ちのランナーは多いはずです。
周回コースで信号ゼロ、足止めされずに走り続けることが皇居ラン最大のメリットと言えます。ペース走に向いたコースがランナー受けしている理由の一つです。
1周5キロでわかりやすい
皇居コースは1周5キロ (正確には50m位少ない) がとても計測しやすく、ワンウェイで最適な距離です。
ペースが整えやすく、何周するかで距離走に容易に対応が効きますし、5キロ毎で水分補給ができるタイミングが体調面にも利点となります。
景観が抜群にいい
初めて皇居へ走りに行ってみようと思った時は、空気が悪そう・・・都会の喧騒が・・・と向かう前に考えたものです。しかし、実際に走ってみると想像していた以上に景観がいいんです。
二重橋、国立劇場、東京国立近代美術館、国会議事堂、最高裁判所、東京タワー、皇居のお堀、東京駅、警視庁などの歴史的建造物や特徴ある建物を眺めながらのランです。そして緑が多く自然があり春夏秋冬変化に富んだ景観を楽しむことができます。
また、夜になると煌びやかなビル群と漆黒の皇居の対比が印象的となります。最新のビル群と歴史ある皇居、半蔵門からの下り坂で見える夜景は最も好きな夜景の一つです。
旅先で大阪城、名古屋城、大濠公園などのお堀周辺を走ってはいますが、石垣や天守閣を眺めてのランニングは、歴史を肌で感じられ非日常感が大きい体験となります。
皇居と東京駅周辺の陰陽
適度なアップダウン (アップダウン3キロ、平坦2キロ)
アップダウンありでフラットではない、これが特徴でしょうか。竹橋から上って桜田門まで下る区間が計約3キロ、そこから残りの東側区間 (東京駅側) は平坦となります。はっきりしたアップダウンにより練習効果が上がります。
治安がいい
場所柄警察官が24時間警備に当たっているので、女性ランナーは夜でも安心して走れます。ランニングコースとしては国内屈指の治安の良さを誇ります。
警察官がコース脇に常駐
皇居周辺はグルメの宝庫
走り終えたら食事したり、一杯飲んだりするお店に困ることはまずありません。悩むとしたら余りにも多い店の中から選択しなくてはならないことくらいでしょうか。
日本中、世界中のグルメが東京駅周辺には溢れています。食事とランニングをセットにして訪れみるのも皇居ランの楽しみ方の1つです。
皇居ランのデメリット
皇居周辺にコンビニ、自販機なし
皇居という土地柄、景観を損ねるてしまう観点から自販機、コンビニは皇居周辺から見える範囲内には見当たりません。
水飲み場はありますが、必要なスポーツドリンクなどの飲み物は自前で用意し、各自のスタート地点まで持って行かなければなりません。ただし、コースをちょっと外れればそこは東京都心、コンビニも自販機も腐るほどあります。
水マークが公共の水飲み場
(2022年9月)
路面が悪い箇所がある
竹橋からの上り区間では路面が浮き上がった場所があり、夜間は特に注意が必要となります。足元に注意を払わないとつまずいて転んでしまう始末、皇居ランで最も危険な場所の1つです。
追記
上の写真箇所は路面工事が進み、拡張化もされました。もしかしたら事故の多さから改善されたのかもしれません。危険リスクが高い所が快適で走りやすい走路へ変わりました。
ご覧の通り路面が綺麗に整備され、道幅が広がり安全性が増しました。
写真は2020年3月
走路が狭い箇所がる
どう見たってここは狭い、と言える走路区間が皇居には存在します。並んで走るのはもってのほか、追い抜く時にも注意を払わないと危険が伴います。
そんな狭い場所だけに「通りまーす」の一声がお互いの怪我リスクを少なくします。
大手門付近のここが一番せまい
マナーが悪いランナーはやはりいる
コース上にはルールが書かれた表札がありマナー向上を促しています。それでも素行が悪いランナーはマラソン大会同様一定数はいます。
ただ皇居周辺は公道であってランニングコースではありません。最優先は歩行者だという大前提を常に意識しなければなりません。
皇居ランのマナー
まずはコロナ前からそうだったのですが、コロナ禍が過ぎ去った今再びインバウンドによる外国人観光客への配慮は必要となります。特に大手門あたりで観光客が多く、写真撮影に夢中で歩道を縦横無尽に移動するので昼間の皇居ランニングはかなり危険です。
先程述べたようにここは公道、ランナーは歩行者の邪魔にならぬように避けたり、ペースを減速して通過しなくてはいけません。
皇居を「ランナーの聖地」と言っているのはランナーだけ、ここはランナーのものではなく公の場所であり、皇居では礼節ある走りが求められているのです。
外国人観光客で賑わう大手門
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皇居ランの特徴色々
皇居ラン、スタート位置は?
公共トイレや水道、ベンチ、ランステが点在する位置関係から、ほとんどのランナーが次の3箇所からランニングをスタートします。
桜田門からスタートの場合
スタートしてしばらくフラットなので調子を整えやすく、中盤から上りとなりますが後半が下りとなることで終盤ペースを上げられることで1番のおすすめスタート位置となります。
健康マラソン時計塔
(since 1975)
半蔵門からスタートの場合
スタート直後から下り坂でラストが上り坂、乱ペースになりやすいコース形態となります。スタート直後に下るマラソン大会は結構ありますが、そんな大会の練習にはもってこいと言えるスタート位置となります。
半蔵門
竹橋からスタートの場合
いきなりの急坂で心拍数が一気に上がる走り始めがキツいスタート位置です。ただ上り切ってしまえばあとは下りとフラット基調となる皇居1周、ここからスタートは精神的に楽なスタート位置となります。
竹橋
皇居ランの注意|避けるべき時期は?
夏が暑かったり冬が寒いのは皇居に限らずどこでも同じ条件ですが、1年の中で「今だけは皇居ランはやめといた方がいいよ」と言える時期があります。
何回かその時期にペース走のために行ってヒドイ目に遭ったことで悟りました。それは、
桜が咲いている時期
道を埋め尽くす花見客のため、常に立ち止まったり減速を余儀なくされ思った通りのペースではまず走れません。
趣味で走りに来ているのにストレスを溜めて帰る羽目になること数回、お花見の季節は皇居ランは絶対におすすめしません。
追記:桜が咲いている時期は花見ランに徹する
矛盾するようですが2019年春花見ランを堪能するため皇居へ出向きました。
上記のようにペース走目的でこの時期皇居へ行くと、花見客で思うように走れないことは上述の通りです。しかし始めからゆっくりとした花見ランと決めて行くのなら、この時期はまさにうってつけとなります。
花見時期に向かないのは皇居でのポイント練習です。
千鳥ヶ淵
おすすめ皇居周辺のランステ
私が皇居ランを始めて約10年 (2023年11月時点) 、懇意にしているランステか銭湯は以下2つとなります。利用料の安さや好立地などそれぞれいい点がありますのでご紹介したいと思います。
日比谷ラフィネNeo店
東京ミッドタウン日比谷の地下が入り口
支払いが現金不可で電子マネーかクレジット払いなのが特徴です。利用料800円 (2023年11月現在) が都心価格でお財布には優しくありません。
でもでも地下鉄日比谷駅直結、JR有楽町駅からもアクセスが良く、手ぶら利用でき利便性が抜群ですから目を瞑ります。
またNIKEの最新シューズ貸し出しサービスは、実際に購入する前の試し履きに最適でそのためだけに来店する価値があります。
貸出棚、空いてるサイズは利用中
平坦スタートの桜田門に近いのでペース走を行う時はここを拠点にしています。
またランステ主催のランニングイベントが頻繁に行われているので、自分にあったレッスンを受けてみるのも良いかと思います。
最大の難点が人気店であるがゆえ、混雑時の使い勝手が良くない点です。冬期で運が悪いと、寒風の中のランニング後に長蛇のシャワー待ちに遭遇となります。
メモ
姉妹店の日比谷ラフィネ (500円で利用可) は2019年11月24日に閉店となりました。
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梅の湯(神保町)
銭湯入り口
(2023年8月)
建物本体は近代的ビルである現代版銭湯です。入り口から上を見上げると都心のビルそのもの、まさか1Fが銭湯とはとても思えない風貌です。
ワンコイン520円 (2023年8月現在) とランステより長い夜11時までの営業時間 (日曜定休日) が使い勝手良く、さらに何と言ってもここの強めのジェットバスが私の大のお気に入りです。
マッサージ効果の高さから、脚のお手入れのためにシーズン佳境の冬には特に頻繁に訪れてしまいます。
衛生上ランニングシューズはエントランスにある下駄箱へ置く仕様なのがランステとの決定的な違いとなります。脱衣所への持ち込みは厳禁ですので注意です。
難点は皇居まで遠い (約600m) ことと、スタートが竹橋となり走り始めから皇居随一の上り坂となってしまうことです。皇居までウォーミングアップを十分に済ませ、キツめの上り坂スタートに備えましょう。
最後に梅の湯へ行く際はシャンプーやボディソープを持参することをおすすめします。スーパー銭湯ではないですから、備え付けのものはそれ相応の品質です。
以上、皇居ランについての記事でした。長らくお付き合い頂いてありがとうございます。
東京マラソンゴール地点