富士登山競走まで残り3週間の週、夏の30キロペース走を無事に走り切りちょびっと自信を持てた地固めから、いよいよ満を持して富士山へ試走に向かいました。
昨年はスタートから五合目、そして五合目から山頂までの2分割で試走したのですが、今年は市役所から山頂まで通しで試走を1回のみとしました。
昨年の山頂コースにて五合目足切りにあった完走ギリギリレベルの私※が、本番を見越した試走を通しで行うことでいくつか収穫があったことを中心にお話ししたいと思います。
三合目から
※フルマラソンなら3時間20分台の走力、サブ3.5程度
※よって山頂コース4時間を切るようなべらぼうに速いランナーの参考にはなりません
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通しで試走して分かったこと
スタート地点の富士吉田市役所
以前と絵が変わった
試走の細かい点については昨年の記事を参照にして下さい。
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試走に勝る練習なし①|富士登山競走五合目コースへ
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試走に勝る練習なし②|富士登山競走山頂コースへ
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昨年大会でDNFした翌8月の山の日、その年最後の富士登山として御殿場口登山道から登った時のことです。
砂走りが目的だったため山頂はオマケだったのですが、思いの外深い砂礫 (されき) に体力が奪われ頂上が見える付近で体力と脚力の無さを痛感しました。
この時思ったことが来年は五合目からではなく、下から通しの試走が必要だということです。
そんな1年前から決めていた予定を実現させた今回の通し試走ですが、実際にやってみて分かったことがいくつかありました。冒頭からいきなりの結論となりますが、以下4点が今記事のメインパートとなります。
富士登山競走、通し試走での気付き
- 実力あるランナーは歩きも速い
- コロナ明け、外国人登山者が劇多い
- 補給は大事
- タイムを縮める箇所多数あり
下山は五合目まで、そこから路線バス利用で帰還
試走した日は富士登山競走ちょうど3週間前の7月7日、この日は登山サイトてんくらにて数日前から登山指数がAの日でした。
富士山はランナーには怖い山という自負があり、軽装で登ることが前提のため、指数A以外の日に富士山には向かわないようにしています。
実力あるランナーは歩きも速い
写真は昨年の試走時のものですが、天気が良いためか今年も試走ランナーが多数いらしていました。
ズーハーズーハーと尋常ではない大きな呼吸音が後ろから迫って振り返えると、やはりその格好から試走ランナーであることは間違いなく、道を譲る間も無く颯爽と早歩きで抜いて行きました。
みやすのんき氏が著書内で言うように、高所での呼吸は深く吸って深く吐くことです。意識しないと多くの酸素を得ようと細切れの呼吸を繰り返してしまいます。
今回の試走で刺激となったことの一つは、走力が高い彼ら彼女らは中盤以降の歩きゾーンで登山歩きがとにかく速いのです。
馬返しまでのロード区間の走力は今更ながら、それ以降の歩きメインのトレイルパートでも速さが必要だと痛感しました。
コロナ明け、外国人登山者が劇多い
河口湖駅前
平日でこの賑わい
今年富士山は世界文化遺産登録から丸10年を迎えるらしく、日本人だけではなく制限が解除された国外からたくさんの登山者が訪れます。
最近では都心や他の観光地を見てもどこへ行っても外国人観光客が多いなぁと実感し、ここ3年間毎年訪れている富士山も状況がコロナ禍とは明からさまに違います。
今回の試走では部分々で外国人登山者が多く、狭い登山道で抜けに抜けない状況で要所々で渋滞発生、コレをどう捌いていくかが本番の課題となります。
そして開催日の7月28日は日本人でも夏休みに入っていて登山を目指す方が増えることは目に見えています。
要は今年2023年から富士登山競走は、外国人 & 日本人観光客が戻った状況で大会が開催されるということです。
Clear the way, Please
補給が大事
試走当日は早朝車で富士吉田市に向かいながら朝食を摂る形となりました。そこから富士山山頂のゴールまでに食したものは以下のものです。
・菓子パン1つ (朝食)
・みたらし団子3本 (朝食)
・塩ジェル1つ (登山中)
・塩飴5個 (登山中)
・水分2リットル (登山中)
登山に伴う消費カロリーは高い方と以前から感じていました。今回は満腹感がある状態でスタートしたのですが、結果的に空腹感が募り終盤脚が上がってしまいました。
走力が少なからず影響したことは確かですが、空腹感が大きかったので補給することでもう少し踏ん張りが効いたかもと思っています。
本番ではエナジージェルをもっと持参してレース中に定期的に補給すること、またエイドにある固形物 (2023年エイド内容) を積極的に食べて終盤に備えるつもりです。
タイムを縮める箇所多数あり
スタートからゴールまで試走を通しで行うことで、昨年の2回に分けた試走では感じることができなかった気付きが今回はありました。
市役所から山頂を目指したので実戦に近い試走となり、現時点での課題がより鮮明に浮き彫りになったのです。
4時間半に及ぶ格闘でどこが肝なのか (ほぼ全区間・・・)、弱音を吐いてはいけない箇所を実体験で確認したいため、今回はどうしても通しで行いたかったのです。
タイムを少しでも縮められる箇所
・スタート直後
・馬返し後のトレイル区間
・平坦路
・ゴジラの背ではもっと上半身を使う
・スタート直後
まずは昨年のスタート直後の1km目のタイム記録をガーミンで振り返ってみると、五合目コースにチャレンジした年と比較して圧倒的に遅いことに気付きました。
その戒めとして最初の1キロはエンジンを吹かす意味でも、スタートしたらとにかく飛ばせと自分自身に言い聞かせます。
ただし朝ランニングすることが今では皆無な夕方派の私にとって、午前7時から身体と心肺を全開フルスロットルまで上げるには準備が必要です。
ですから当週は朝軽めにランニングして慣らしたいと思います。
・馬返し後のトレイル区間
皆さんそれぞれの目標タイムを目指しシャカリキに頑張るのが、多くのランナーにとってランドマークとなっている馬返しまでとなります。
馬返しを超えてロードからトレイルに変わる五合目関門までの区間は、穏やかに息を整えつつピッチを刻んで早目ウォークに専念します。
ここまでの疲労度が想定よりも大きいと先が思いやられ不安極まりないのですが、この区間はランニングからウォークへの転換をスムーズにしたいと思います。(ただしこの区間は脚攣り頻発ゾーン)
・平坦路
馬返し以降の緩い斜度と六合目以降の山小屋前など時折現れる平坦路はランニングがマストとなります。
フルマラソンで自己ベストを狙うが如く1秒を削り出す意識を持って、走れるところは走ることが富士登山競走のデフォルトとなります。
それはなんとか五合目や八合目関門突破をするためではなく、富士登山競走を完走するための小さな積み重ねとして必要だと通しでの試走で痛感しました。
馬返しまでは絶対に歩かないとか、登山道で走れる斜度は小走りするとか、九十九折りの砂礫ゾーンはパワーウォークで進むなどの工夫が必須となります。
・ゴジラの背ではもっと上半身を使って進む
砂礫の登山道が一旦終わると七合目以降は、いよいよ富士山らしい岩場が始まります。
今回は新調したトレランシューズの性能が良く、手を使わなくても脚だけで登れてしまうことで両手が遊んでいる時間が多くなってしまいました。
以前の記事で書いたように手を意識的に使うことで脚が休まりエネルギー消費が抑えられます。本番では上半身だけで登る気持ちで両手をついてよじ登るつもりです。
2022年試走時
今回のわたくしの試走詳細
昨年五合目関門でDNFをかましてしまったことから、実際にどこをどのくらいのタイムで通過すれば良いのかを明確に頭に入れて今回は試走しました。
参考にしたのがみやすのんき氏著書「サブスリー漫画家 激走 山へ!」です。今回特に五合目までの各通過タイムを気にしながら走ってみました。
みやすのんき氏提案のタイム設定 (馬返しまで)
金鳥居 | 7分 |
浅間神社 | 15分 |
高速高架下 | 27分 |
中の茶屋 | 40分 |
馬返し | 1時間5分 |
2023年試走
下山時に見えた五合目関門 (佐藤小屋)
スタート〜馬返し
駐車場からテクテクと歩いて富士吉田市役所まで向かい、昨年同様信号が変わると同時にスタートを切りました。
みやすのんき氏提唱のタイムスケジュールは完走ギリラインを示したもの、それに対して現在の自分のレベルを確認することが試走の目的でもありました。
タイム設定と実際
想定タイム | 実際のタイム | |
金鳥居 | 7分 | 7分 |
浅間神社 | 15分 | 14分 |
高速高架下 | 27分 | 27分 |
中の茶屋 | 40分 | 41分 |
馬返し | 1時間5分 | 1時間8分 |
本番と同じくらいにシャカリキになって・・・とまではいかないまでも、そこそこの熱量とカロリー消費で走ってこのタイムでした。
中の茶屋から馬返しまで少し歩きが加わったものの、そこまで失望するタイムではありません。実際試走なのに去年のレースとほぼ同タイムです。
中の茶屋までアスファルト舗装が更新し走りやすく
馬返しまではデコボコ
昨年と同様に中の茶屋〜馬返しまでは、相変わらずの悪路なアスファルトでした。
溝が深い所でコキッといきますから、脚を挫かないよう着地に細心の注意を払って進みました。
個人的には今回も馬返し直前の急坂にて脛部分の筋肉疲労で攣りそうになりかけ、馬返しまでは歩かないと口を酸っぱくしながらも、ラスボスはもしかして早歩きした方が脚攣り防止になる気がして早歩きとしました。
馬返し〜五合目
馬返し後は最初の挑戦の年に脚攣りの症状が出て困惑した区間です。そこで大きくタイムロスしたことが懐かしくもあります。
今回も攣りそうになりかけたのですが難を逃れ、ここまで1時間ちょっと続いた上り坂で早くもバテ気味となっていました。
その後は無難にトレイルをこなし、確か以前の記事で旧焼印押しまで最低でも2時間で通過と書いたのですが、今回は1時間57分でここまでこれました。
やはりこれは脚攣りのロスタイムがなかったことに起因します。私の走破レベルだと本番で攣ったらその時点でチャレンジ終了の可能性が高まるということです。
まずまず
馬返しからは振り返ってみるとすでに脚が上がり気味、力が入りづらく頑張りが効かない感じとなってしまい、そのため平坦路でも走らず早歩きで済ませた箇所が多くありました。
それでも初めて2時間14分台で五合目関門を通過できたことに驚きを隠せません。最後方Eブロックなのでスタートロスがどれほどのものか予測できません※が、脚攣りと渋滞がなければ五合目関門突破が見えてきました。
しかし問題はここからでした。
※結局2023年大会では約1分でした
昨年脚を止められた五合目関門場所
五合目〜富士山ホテル
五合目関門は突破できると気を良くし水分補給して上を目指し始めたのですが、富士スバルライン五合目からの一般登山者との合流点までが意外と長く感じてしまいました。
そして視界が開けた辺りで上を見ると山頂はまだずっと先、そして何よりも山小屋が連なっていてあんな所まであと2時間で行かねばならないとの絶望感が湧いてきます。
というか六合目を過ぎたばかりなのにすでに疲労困憊な自分がいて、砂礫の九十九折りが始まってからはゆっくり歩くことが精一杯となってしまいました。
富士山ホテル〜山頂
昨年の五合目からの試走では八合目関門の富士山ホテルまでの岩場区間では、両手を使って這っていく登山が楽しくてモリモリ進んでいけました。
しかし下界からスタートした今年は、上述のごとく全く脚に余裕がなくなっていて楽しくもない苦行の試走となりました。
4時間6分で到着、八合目関門OUT
五合目から1時間52分も掛かっては関門アウトも致し方ないかと。確か五合目から試走した昨年は1時間43分だったと思います。
下から試走はバテ方がまるで違う、これがスタートから試走することの意味だと今回痛感します。
そして本番へ
結局山頂関門には22分もオーバー
最終盤九合目あたりでは気持ちが切れたこととエネルギー切れが相まり、そして高所も一年ぶりとあってフィジカル面も詰んでしまい一般登山客と同じ脚色となってしまいました。
私の格好を見て登山者が道を譲ってくれたのですが、限界なので内心もうゆっくり行きたいんです。そんなこと言えずワッと追い抜き、限界に息が上がって動けなくなる始末が恥ずかしいのなんの。
山頂から下山道へ
息も絶え絶えで怪我もなく山頂に着いたことは良かったのですが、吹き上がってくる風が真冬のそれでした。
億劫でシャカシャカを出すのが面倒くさく、ぶるぶる震えながらカロリーメイトをさっと2袋食して下山開始、山頂滞在時間はわずか10分ほどでした。
長い長い下山道、でも今年は景色が良い
下山道をゆっくりと歩きながら今回の試走を振り返っていました。
それでも実戦形式の通しで試走したことで、自分が足りない部分とその改善策は掴むことができました。
本番まで出来ることは限られています。訪れるたびに富士山の経験値は高くなっていることは間違いなく、極力卑下せずに目の前の富士と向き合うのみかと思い本番へ向かいます。
山頂ゴールの鳥居
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富士登山競走山頂コース (2023年) |今年もまた関門突破ならず・・
2023年7月28日に開催された富士登山競走から日にちが経つにつれ、あの強烈な筋肉疲労による痛みがようやく快方に向かっていることを実感しています。 五合目関門まで所持した未使用の経口補水パウダーや補給 ...
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