知識と体力を併せ持つ往年の先人たちが、そしてブロガー達が記し残してきた言い伝えによると、こと富士登山競走に関して試走に勝る練習なしとされています。
ここ最近はご近所での坂道練をメインとしていたので、リアルな刺激を求めて富士登山競走五合目コースへの試走へ出掛けてきました。
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目次
富士山駅まで行きは高速バスで
写り込みは私
2022年6月現在、東京から朝1番に富士山駅に到着する高速バスは、新宿バスタ発ではなく東京駅6:20発の富士急バスです。
1号 | 3号 | |
東京駅発 | 6:20 | 6:50 |
富士山駅着 | 8:37 | 8:47 |
ネット予約したのが6:20発の便だったのですが、途中東京ドームホテル他に停車する都合で、次の3号と到着時刻が10分しか変わりません。
起床してからバタバタする朝1の移動を考えると、1号よりも30分遅い発車の3号のバスにするべきでした。
空席状況△なのに乗客2人って・・・
富士山駅のロッカー事情
富士山駅に着いてからは、最終的な着替えとトイレを済ませての試走スタートとなります。
ここで着替えなど余計な手荷物はロッカーへ預け、なるたけ本番と同じ軽装な格好で走ります。その方が試走の価値が高まると思っています。
写真(上下)に写っている限りぱっと見で40個程のロッカーがあり、1番小さいロッカーは400円で利用できます。
ハイシーズンに空きあるか?
富士登山競走スタート地点へ
富士山駅からウォーミングアップを兼ね、バス乗車で凝った身体をほぐしながら3年ぶりに富士吉田市役所へ向かいました。
ちょうどこの位置、この風景がスタートラインとなります。試走なので当然号砲は鳴らないのですが、雰囲気を作るため信号が青になってからスタートしてみました。
このどこにでもある街の光景から、そこにしかない富士山頂のゴールを目指します。山頂コースに挑戦するものとして身が引き締まる思いです。
富士登山競走五合目コースの概要
ガーミンの画像より
高低図
公式HPより
ぱっと見こんな感じのコースで、ずっと登りっぱなしかつ曲がり角が他の大会と比べて極端に少ないです。
走破タイム的には富士吉田市役所から馬返しまでと、馬返しから五合目コースのゴールまで比率はおおよそ1:1となります。(先人たちの、そして統計的データ)
例えば富士吉田市役所から馬返しまで1時間5分なら、五合目までは2時間10分となる計算となります。このタイムなら五合目コースなら山頂挑戦権ゲット、山頂コースなら完走できることとなります。
進行方向で分かりづらい箇所
コースを間違えて戻った形跡あり
(ガーミンの記録より)
富士登山競走の試走にて唯一間違えそうな箇所は、市役所を西に向かい国道137号線を左折して南下したどんつき(T字路)からです。
写真のように国道137号線を直進してきたら、T字路を難なく左折したら1個目の信号まで行かない道を右折します。
肝心な写真を撮り忘れたのですが、確か富士吉田口との標識があったはずです。富士浅間神社付近で右折すればそのうち正規ルートへ出られるので心配はいりません。
序盤は快調も変わらぬ景色に気持ちが削がれる
右折してからは多少気を付けなくてはいけない箇所はありますが、ハッキリ言って五合目まで(山頂までも)道なりと言っても過言はありません。
スタートしてから4キロ弱で県道701号と合流、まだまだここから中の茶屋を経て馬返しまで走らなければいけない区間が続きます。
そして中の茶屋まで森林の中をまっすぐ走る風景がほとんど変わりません。こんな序盤で心折れるわけにはいきません。目の前を見るよりも視線を下寄りにして走るといいかもです。
この辺りは山頂コースを意識しつつ無理せずにピッチを刻んだ結果が、終始キロペース6分前後でした。
五合目コースから翌年の山頂アタック権を目論むのなら、中の茶屋までキロ6分以内を目指したいものです。
この日は6月下旬の平日にも関わらず、五合目までに抜いたり抜かれたり、すれ違ったりで約10人の試走ランナーと出会いました。
印象としては見た目からして、皆さん走力が高そうなランナーばかりでした。実力あるランナーであっても、ここ富士山においては試走練習に余念がないということの証です。

中の茶屋以降のロードの舗装面について
中の茶屋から馬返しまでのアスファルトは、上の写真見たまんまで路面状況は良くはありません。
傾斜がキツい箇所でも路面がひび割れ凸凹としていて、結構足を取られてしまいます。足首がコキっと横になってしまう様に脚を挫きはしたくありませんが、今回の試走で何回かそれらしき挫きを体験しています。
タイヤが通る道路両サイドの路面が全体的に悪路だと気付きました。よって全ての区間ではありませんが中の茶屋以降は、走路中央寄りを走ったほうが無難と思えました。
ただし五合目直前はどこ走ってもボコボコだったことを付け加えておきます。
想定走破タイムをどこに置く?
五合目コースを試走するランナーは主に2パターンに分かれます。
・五合目コースにチャレンジするランナー
・山頂コースにチャレンジするランナー
当然個々人で境遇が違うのですから、一概に中の茶屋まで○分とか馬返しまで○分とは言えません。
そうは言ってもこの大会には関門時間が設定されているので、どこかに目標時間を決めて走ることはできます。そう考えるとロードの馬返しまでがひとつの基準となります。
多くの記事に馬返しまでは突っ込むとの意見があり私もそう思うのですが、今回試走して感じたことは、馬返しまで余裕を持って突っ込むということです。要は先々まで余力を残した状態で突っ込むということです。
べらぼうに速いランナーは別として、五合目コース(山頂権奪取)と山頂コース完走を制限時間内に目指すなら、富士吉田市役所をスタートしてから馬返しまで1時間0分〜10分を目標とすれば完走が見えてきます。
そもそも私を含めたこのランナーレベルは、フルで言えば3時間15分から4時間を切るボリュームゾーンです。そんなレベルのランナーならこの富士登山競走はチャレンジするに値する大会と言えます。
2019年大会では馬返しまでは1時間05分台、今回の試走では馬返しまでは1時間12分でした。
3年ぶりなのと地図を確認しながら走ったこと、中の茶屋以降の区間では股関節痛持ちなので無理せずキツい斜度は走らなかったことを考慮すれば上出来でした。
富士登山競走は、馬返し・五合目・八合目が走破タイムの肝
枡が独特な吉田口登山道
浸透枡
上流からの水を染み込ませて、登山道の侵食を防ぐもの
富士登山競走においてこの浸透枡を越して行く際、ど真ん中の石を跨ぐのではなく、ほとんどが枡外の両サイドの走路を抜けていきます。
3年前は脚を攣った時この場所で、他ランナーの迷惑にならない様に枡のど真ん中で待機しました。追い抜いて来たランナーに抜かれて行く、これはこれで屈辱の時間でした。
馬返しから五合目まで
馬返しからはもう登山道なので走るにしても限界があります。登山道に入ったらとにかく脚を動かし続けて緩斜面が来たら走ることが大事です。
登山道は速いランナーとロードほどの差は付きづらい状況なので、とにかく止まらないで進めば隙をついて抜けるタイミングはあります。
五合目に近づくにつれ岩場が多くなるので、試走で慣れておけばそれは大きなアドバンテージとなります。
水分が足りなかったか?
3年前と同じくランシャツ・ランパン共に大量発汗で飽和状態を迎えました。ランパンから汗が否応無しに滴り落ちます。
私をブチ抜いて行ったレベルのランナーでさえ、ランパンはビッショリでお尻に張り付いていました。
今回は本番ではないので当然給水ポイントはなく、茶屋で一服も考えたのですが試走なので断念、よってアミノバリュー入りのソフトフラスクを携帯して走りました。
馬返し以降ガシガシ登ったのでやはり何回か攣りそうな気配に襲われます。でもなんとかすんでの所で持ち堪え、トータル900mlのソフトフラスク2本を飲み干したところが五合目の佐藤小屋でした。
山は舐めてはいけない
まるでジェットストリームアタック
ゴールの佐藤小屋(撮影忘れ)がら五合目のロータリー広場まで歩いて行くと目の前に馬たちが揃って皆虚ろな表情をしています。でもでも、呑気に馬たちの写真を大量に撮っている場合ではありませんでした。
走り終えて数10分経ちどうも悪寒がします。真夏の格好で走ってきて大量発汗、そこから気温10℃ちょっとの世界に放り込まれたら体調悪化して当たり前です。
その震えから当初の予定通りに往復下山するか、それともバスを待って下山するか悩みました。再び佐藤小屋の方面へ向かって下山を選択したのですが、どうも心の声がバスで下山しろと言ってます。

爪が真っ青となり手先が痺れてきました。ここは意固地にならずバスで帰ろう、そう決めてからは心が軽くなりました。躊躇なしに温かいほうとうを頂いてバスから帰宅の途に着きました。
温かいほうとうで復活
五合目から路線バスで富士山駅へ下山
正直言うと、富士登山競走の試走と公共交通機関は相性が悪いです。
あくまでも自分の体験を基にしているですが、とにかく公共機関を利用すると時間に左右されます。いざ帰りたくても帰れない時刻表を前に辟易しました。
実際にバス下山を決意してから乗車するまで、実に1時間半近くを要しています。そして富士山駅でもすぐに目的の電車はないのです。
ハイシーズンの夏期は便数が増えるものの、バスや電車は使い勝手が悪いので車で試走に来るのがベストと思われます。
富士山はやはり精神面の比重が大きい
今回3年ぶりに同コースを走ってみてタイムは前回に及ばなかったものの、全般でモリモリと歩を進められ感触が良く試走を終えることができました。
来月には山頂コース試走を計画しているのですが、そこに向けて多少は自信めいたものが芽生えただけでも試走に来た甲斐がありました。
やはり標高日本一の富士登山においては、フィジカル面(勿論大事)よりもメンタル面がコースの苦しい場面で試されてくると実感しました。
開催日までの残り時間はまだまだ残されています。完走を諦めずに山頂を目指すため、坂道ダッシュ他の鍛錬は来月末まで腹を括りました。
