TVで見ていた2008年大阪国際マラソン、フルマラソン初挑戦の福士佳代子さんは、ゴール寸前の競技場内で足を攣って何度も倒れながらもゴールを目指したシーンがありました。
それは私のマラソン歴の中で最も印象深いシーンのひとつ、その彼女がスタート会場にてわずか数十m先で笑っています。
満面の笑みとユーモアある明るさを持ち合わせ、スタート前になんとも感慨深い時間となりました。
関東の桜が丁度散った後に青森へ来て再びの満開風景となりました。これはフルマラソンのために青森に来ただけに、今年の桜はロングランとなりました。
あおもり桜マラソンへ参加すれば、1年に桜を2度楽しめるチャンス到来です。
スタート地点の野木和公園
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目次 (タップでジャンプ)
まだまだ若い、あおもり桜マラソン
下記内容にて2023年大会全般を、実際に走ってみて感じたことから私なりにまとめてみました。
各方面から低評価された現実がありますが、きっと改善してくると期待して、2024年以降参加されるランナーさんのお役に立てれば幸いです。
あおもり桜マラソン
- 運営について
- ボランティアについて
- コースについて
- 天気について
- シャトルバスについて
- おもてなしについて
- 手荷物げ運用について
運営について
2022年コロナ禍の第1回大会は、県内在住ランナーのみ参加可でした。ですから北海道から沖縄まで全国からランナーが集った2023年、今回が実質第1回目の大会となります。
そんなお初の大会ゆえに問題点が多く、スタート&ゴール会場の動線に難があったり、運営側の車両がトップ集団以外のゾーンで幾度となく徘徊したり、スタート前の仮設トイレの列誘導がなかったりで不満が募りました。
初回の不馴れが随所に見受けられたことは第1回の宿命ですから致し方ないかと思ったのですが、総じて内部にランナー目線を持った運営者がいないと切に感じました。
第1回目から素晴らしい運営だったみえ松阪マラソンを経験しているだけにちょっぴり残念な気持ちになります。
ボランティアについて
若いボランティアの方々には他県の大会同様、その献身的な態度に頭が下がる想いがしました。
ボランティア数が大会規模の割に多く、挨拶、応援、声掛けと実に気持ち良く、一所懸命かつ優しさある対応が心に沁みました。
娘と同じ年齢のボランティア達の瞳が透き通っていて、給水所では口下手な自分から「ありがとうね」と自然と出てきました。
そんな若い女子ボランティアが給食を手渡してで提供してくれるものですから、食べ物は貰う予定なしだったにも関わらずナチュラルに手が伸びてしまいました。

捨てるわけにもいかずゴールまで大福を手に持って走りました。その後もう1箇所で給食をいただいて両手がふさがった状態でゴールを迎えました。
戦利品はホテルの部屋で食しました
コースについて
公式HPより
記録が狙える

雨が降ったためスタート会場が泥沼化していたのですが、そんなことは記録を出しやすい陸連公認の平坦コースが帳消しにしてくれます。
コースは弓型で真ん中寄りにスタートとゴールがあり、弓の先の方が折り返し (計2回) となります。(別大コースに似ているという意見あり)
前半の田んぼ風景がつまらないと感じるランナーが多かったようですが、反面記録狙いのランナーは殺風景な景色と沿道の人出が少ないことにより集中して走れる面もあります。
前半20kmは田圃道で単調コース、後半20kmは青森ベイブリッジを通って市街地を走る変化あるコースとなり、前半と後半ではコースのイメージは大分違います。
序盤では遠目に見える新幹線の高架橋を眺め、新幹線来ないかなぁ、ってずっと考えて走っていました。 (結果はやぶさが通過)
中盤以降のコース上ではフルとハーフ種目のランナーが重複する区間となり、ペースが違うランナーを追い抜く頻度が高くなり、自らのペースも乱れ戸惑う場面があります。
奥に八甲田を望む
給水
給水 (水、スポーツドリンク) テーブルの間隔が短いことで、給水しようと寄ってくる他のランナーと交錯しやすく給水の度に危険な場面がありました。
そして置かれたゴミ箱はすぐに終わってしまうので給水に急かさる格好となります。
「最後のゴミ箱」を給水後100m先ぐらいに置いてもらえれば、余裕を持って水分を飲めるし、固形の補給ジェルやタブレット系を摂取するのにも丁度良い距離かと思います。
また、陸連公認コースなのに事前情報の中に給水設置場所が何キロ地点かの記載がなく、前日から給水・給食プランを緻密に練るランナーには痛手となりました。
路面
走行路のコンディションは地方大会ならでは、アスファルト舗装の更新が少なく、轍の深さとヒビ割れやボコボコ箇所が散見されました。
大都市で行われる大会はどこも素晴らしい路面なのですが、これが地方行政の現状で前半は疲労が少なくさほど気にならないものですが、疲れてくる終盤につれ気になるようになります。
脚へのダメージを考えて少しでも良好な路面を選んで走るようにしました。
青森ベイブリッジ
青森ベイブリッジ
ランドマークでもある青森ベイブリッジを走れることもまたあおもり桜マラソンの大きな特徴の一つとなります。
海の近くを走るコース取りの割に海が見えるのはこの付近だけ、登り切った橋からは陸奥湾を眺望できてここでホッと一息つきたいところです。
しかし青森ベイブリッジの橋桁のつなぎ目にカバーは敷かれていなく、転倒の危険性があり足元に注意しながら走らないといけません。

10数年前の例の「新東名マラソン」を思い出しました。高速道路や橋は車用のつなぎ目ですから、到底ランナー向けでなく結構な障害物にさえ感じます。橋のつなぎ目にはやはりカバーが必要です。
青森駅と青森ベイブリッジ
桜の名所
スタート地点の野木和公園、後半の合浦公園は青森の桜の名所となり、2023年みたく運が良ければ桜マラソンの名を恥じない桜舞い散る中を走ることができます。
あおもりベイブリッジを降りた後、合浦公園を通って折り返し後に再びそこを走れる点もGOODです。
今年の場合は桜祭りの最中なのにメイン通りをマラソン大会に譲り、満開状態の日曜日にあって市民の楽しみやテキ屋の稼ぎを奪ってしまった形となりました。
マラソン当週の桜はこんな感じ
(弘前公園内)
終盤の風が鬼門
コース後半は若干アップダウンがありますが気にするレベルではありません。それよりもこの時期に吹く西寄りの風に注意が必要となります。
風が強いと35キロ折り返し後からゴールまでずっと向かい風となるので、あおもり桜マラソンはゴールまで自然との戦いとなります。これは2023年だけではなく季節柄2024年以降も可能性ある気象条件となります。
また風対策は寒さ対策と同意となり、この時期に風が強いと寒さを強く感じ身体が冷えてしまいます。
ですから手袋やウインドブレーカー、雨避けポンチョを携帯して走り、少しでも心配事を減らしてゴールまで目指しましょう。
風が強い
天気について
風の強さに触れたのでこの季節の青森の平均的な気候について見ていきましょう。そもそも春の天候は全国的に荒れやすく、天気がどちらに転ぶかは年によってマチマチとなります。
天気の傾向は下の記事にまとめましたので参照下さい。
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あおもり桜マラソン|今年の開催日の天気は?気象データから予測
【2023年大会版】 エントリー最終日にあおもり桜マラソンへ急遽エントリー、その際にさっと調べた気温がそこそこ低温で走れそうな条件が背中を押してくれました。 真冬のようなマ ...
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4月のフルマラソン公認コースで、気温が10℃前後と低い可能性があり、フラットでPBが狙える大会は、同時期開催の長野やかすみがうら、加賀温泉郷よりも本州最北県のあおもり桜に軍配が上がります。
ただし春の天気は強風だけではなく、20℃を超えて初夏の高温の可能性さえもあります。レース時身に付けるウェア選択は真冬から真夏仕様まで多種に及び、とにかくウェアは大会当日までわかりません。
でも2023年は気温低め安定で走りやすい気温となりました。
スタート会場 (野木和公園) は桜、桜、桜
シャトルバスについて
シャトルバスは概ねスムーズな運行だったと思います。私は青森駅発に7時過ぎに列に並びすぐに乗れての発車となりました。
最寄り駅からスタート会場行きシャトルバスの定石は、「皆んな考える会場入り時間は当然混むからバスがすぐ来るとは限らない、早め行動ならとにかくストレスフリーで焦ることなくスタートを迎えることができる」です。
おおむね手荷物預け終了の1時間前に会場入りし、着替えを済ませ手荷物を預けてトイレに行って整列、どこの県の大会に行っても今までこれで不満はありません。
早め行動だとまだ誰も並んでいない
協賛企業が多くゴール後のおもてなしが凄い
協賛企業が多いことは参加費がリーズナブルな7000円である理由にもなっているのですが、さらにゴール後には両手に持ちきれないくらい多くのお土産がスポンサー企業などからもらえます。
写真以外にもらえた品があったようですので、ゴール後は急いで先へは進まず会場をウロウロすることをお勧めします。
ゴール後の回復に
手荷物預けの運用について
はい、そしてこれが2023年最も杜撰なオペレーションとなってしまった残念な点となります。これは要改善、来年への課題となりました。
ゴール後の手荷物預け返却に関して、あの運用ですからランネットでは低評価が目立ちました。これだけ批判を浴びたからには当然2024年以降改善されるはずです。

マチがなく荷物預け袋が小さい
手荷物袋が容量30Lと小さくマチや結ぶ紐もなく、口を結ぶのにひと苦労でした。
手荷物の袋は小さいと文句が出るのですが、大きくて出ることはありません。どの大会も巨大な袋にしましょう。
季節柄気温が乱高下する可能性が高く、寒くなると真冬の格好で会場に来ることになります。着膨れするのが冬の衣類ですので、袋はマチ付きの大きめでお願いしたくなります。
宝探し
ゴール後冷たい強風吹く中、荷物の受け取りは長蛇の列でした。なんでこんなに進みが悪いのだろうとランナーの苛立ちは募るばかりでした。
答えはテントの中に雑然に置かれた手荷物、それを探すランナー達を見て合点が行きました。
乱雑に積み上げられた手荷物、それを自分で探し当ててピックアップする方式です。

私は自分の手荷物を探してる最中、他のランナーの荷物を見つけて手渡しました。これはこれで今まで多くの大会に参加してきて、フルを走り終えてゴール後の手荷物返却の一員になったことは初体験です。
管理が杜撰
手荷物を自分で探す方式は、防犯意識が著しく欠如しているとしか言いようがありません。ランナーの大切な手荷物に対する管理が杜撰過ぎます。
さらにねぶた小屋 (ねぶたの製作所) から出る時、ナンバー照合は私の時間帯にはありませんでした。手荷物のゼッケン確認無しの大会は、小規模ローカル大会含めて初めてです。
貴重品は入れないよう文言は要項にありますが、大抵のランナーは財布やらクレカやらスマホやらが入っているのですから。
しかも男女一緒なので、ここで女子の荷物を持ち出す輩がいないとは限りません。これでは盗難仕放題のシチュエーションとなります。
手荷物のセキュリティが担保されなければ、女性ランナーや遠方からのランナーは怖くてエントリーを躊躇します。
可哀想だったのがボランティアの女の子、殺気立つ雰囲気のテント内でバツが悪そうにランナーのゼッケンナンバーをいくつも暗記し、ランナーの手荷物を複数個同時に探していました。

直前の変更が影響したか
前日からの強風によりゴール後の手荷物預け場所がねぶた小屋へ変更になったことは、大会前日に公式HPにて告知がありました。
これは自分で探す方式になってしまったことと関連があったのでしょうか?
見た感じそこに配置されているボランティアの数から、当初の場所でもおそらく最初からセルフだったのでしょう。
誰が考えたかは知る由もありませんが、これは大会存続に関わる重要な事案となります。
観光とセットで楽しむ
三内丸山遺跡
青森県って観光地が他県に比べて多いと、今回の旅行前に調べて初めてしりました。観光とセットで十分に満足感あり、予算と時間が許せばレンタカーを貸りてガンガン観光すべきです。
白神山地、奥入瀬、八甲田山、酸ヶ湯温泉などの温泉地、恐山、竜飛岬、ねぶた祭り、青函連絡船、青函トンネル、三内丸山遺跡、岩木山、弘前城など
往路は関東から金曜夜に夜行バスにて青森を目指し節約を重視したのですが、復路は豪華に新幹線でわずか3時間ちょっとの帰路となります。
飛行機利用なら羽田から1時間、これは遠方からのマラソン参加が選択肢に入ってくる大会となります。
弘前城のお堀
いや〜また参加したい度
あおもり桜マラソンは地元高校生によるねぶた囃子の演出や、ゴール後のおもてなしと給食内容など趣向を凝らした地域色溢れる大会と言えます。
7000円の参加料はここ数年のフルマラソン参加費と比べ破格でコスパ高く、遠方から来るランナーにとってお財布に優しく参加に踏み切りやすい価格設定で嬉しい限りです。
ただし良い部分がある反面あおもりは他大会と比べたら未熟が顕著で、上述の手荷物預け問題の他に応援ナビやランナーアップデートに対応していないなど、まだまだ発展途上で長い目で見守りたい大会と言えます。
小さな所にランナー目線ではないと感じられる箇所が多く、マラソン大会の現場を知り、司令塔として仕切れるベテランスタッフや、ランナー経験豊富なアドバイザーを運営者の中に入れるべきと提案します。
ただしこれから良くなる一方の大会ですから、鼻を長くして来年以降の大会運営に期待しましょう。
そしてもう一点、秋から始まったフルマラソンシーズンでベスト記録を達成できなかった(自分みたいな)ランナーの最後のあがき、この大会は低温で平坦コースを走れPBが狙える最後のチャンスとなり得る大会であることを最後に申し添えておきます。
いや〜また参加したい度
ゴール地点、アスパムは観光施設