本番用シューズの選択、そんな時期が久々にやってきました。手持ちのレース用はズームフライ3なのですが約2年前に購入したものです。
まだまだアウトソールは減ってなく、カーボンプレートもヘタリ無しで現役バリバリですが、コロナ禍を抜け(2021年11月時点)つつ心機一転そろそろもう一足欲しい所です。
そこでNIKEで探すと走力的にコレかと思えたのが、エアズームテンポネクスト%(Air Zoom Tempo Next% )でした。
スポンサーリンク
エアズームテンポネクスト%のファーストインプレッション
購入後初めてランニングコースに出る際は、いつだってそれが何足目であっても高揚感に包まれます。
エアズームテンポネクスト%(以下テンポネクスト)の場合、それはもうインパクト絶大のファーストインプレッションでした。
第一印象
1. 着地音が大きく独特で後からついてくる
2. キロ当たり5〜10秒思っているより速い
3. 初めて履いてすぐもう一足欲しくなった※
着地音に関することといえば、自分史上最大に走行音がデカイです。今まで淡々と走ってきたランナーでも着地音がとても気になるはずです。
エアズーム内の素材が縮んでいる音だと思うのですが、パカパカ音が着地音よりも少し遅れてやってくるのが違和感となります。
真後ろから馬が付いてくる感じと言えば伝わりますでしょうか。
※2022年の東京マラソンのため、もう一足購入に至る
テンポネクストの立ち位置
テンポネクストの立ち位置についてはNIKE公式サイトにてその答えが説明されています。
これは、スピードアップを目指したトレーニングをサポートするシューズ。レースに向けて体を準備するのに役に立つ
ー公式HPよりー
公式でトレーニング用シューズって言ってます。つまりは練習用ということです。
最上位モデルのエアズームアルファフライネクスト%(以下アルファフライ)を履く東京オリンピック金メダリスト、エリウド・キプチョゲなどトップ選手から意見を得てアルファフライをベースに開発されました。
つまりテンポネクストはアルファフライの廉価版、トレーニングモデルという位置付けです。
トップ選手達にとってアルファフライがフル本番用、テンポネクストはいつもの練習用という訳です。
私みたく3時間切りに足りないランナーにとって、アルファフライはスペック的にも価格的にも敷居が高いものです。
私がズームフライフライニット、ズームフライ3と上位モデルの廉価版を履き続ける理由は、走力自体がサブ3廉価版だからに由来します。
上位モデル | 廉価版 | |
ヴェイパーフライ アルファフライ |
ズームフライフライニット ズームフライ3 テンポネクスト |
テンポネクストの重さ
292g
ズームフライ3
28.5cm
280g
テンポネクスト
28.5cm
最上位モデルのアルファフライと比べたら重いことは確かです。しかしズームフライ3と比較したら約10g軽いだけでした。(新品未使用時)
重いからレースでは履けないと言った意見があったのですが、少なくともサブ3以降の市民ランナーではその重量による弊害はないと思っています。
テンポネクストのサイズ感
サイズ感はアッパー素材の影響を受けています。フライニット素材がキュと締めてくれますからワンサイズ(0.5cm)大きめでOKです。
自分自身が外反母趾持ちで4Eサイズを求めているのですが、ズームフライフライニットの時と同様に大きめ対応可能でした。
かかとを覆うように柔らかい緩衝材が内側に張り付いており、これがしっかりとしたホールド感を生み出します。
これが新品の履き始め初期に襲われる靴擦れ防止となります。実際ひどい靴擦れに悩まされたペガサス37の二の舞にはなっていません。
テンポネクストのテクノロジー
テクノロジーについては発売(2020年8月27日)から結構経つので、細かいことは他サイトに譲ります。ここでは各機能について個人的な感想だけを述べていきたいと思います。
ズームエアポッド
見た目で最も大きいインパクトを持つのが、ナイキ史上最高の反発を生み出すズームエアポッドです。
イノベーションという言葉がもてはやされていますが、カーボンプレート同様このズームエアポッドもまさに革命的な装置だと感じました。
走ってみるとすぐに今までにない半端ない反発力を感じます。歩いていても感じる反発力なのでウォーキング用にもなるかもです。
このシューズ、使い倒してアウトソールが減ってしまい、ズームエアポッドまで達した時が現役引退となります。
プレート
カーボンプレートが入ったアルファフライとは異なるもの(ナイロン主体)が採用されてます。カーボンよりも柔らかいプレートがフルレングス(足裏全体)に入っています。
しかしそのズームフライ3とテンポネクストのプレートとの違いは素人では感じません。
ズームX
ズームX素材は前足部のちょうどフォアフットの部分に使われ、その衝撃のリターン率は驚きの85%だそうです。
軽量かつ反発性が高いズームX素材が高価であるがため、ソール全てで採用さあれている上位モデルが高価だと言われています。
リアクト
軽量で反発性あり、かつ耐久性が高いリアクト素材は、ズームXの低耐久性の低さをカバーするためかかと部分に厚めに配置されています。
ズームXとリアクトフォームが相乗効果を発揮、脚に優しいクッション性の素晴らしさは履いて走ってみないとわかりません。
フライニット
これまたズームフライフライニットと同じくシュータン(ベロ)がない仕様となります。紐がなくても適度なフィット&サポート感があり、薄手で通気性だって問題なく蒸れません。
ただ以前にもお話ししました通り、フライニット最大の弱点は、雨の中で履くとアッパーが水を吸収してしまい重くなってしまうこと。雨の東京マラソン2019で体験済み、レース後半染み込んで明らかに脚を重く感じました。
一方同じ雨天だった京都マラソン2020ではズームフライ3を使用、Viparweave(ヴェイパーウェーブ)というビニール素材のために、あまり濡れず重さを感じませんでした。
アウトソール
見た目でわかるゴツゴツ感満載のラバーが中足部を除いた部分に配置、これにより独特な着地感がしっかり足裏に伝わってきます。
明らかに耐久性が高そうなアウトソールですが、見た目ほど舗装路でのグリップ性能が高いとは思えませんでした。
雨天時はズームフライ3のソールの方が優秀です。
ただ耐久性の高さはすなはちシューズが長持ちするということ。これなら2シーズンはマラソン大会やポイント練習で使い倒せます。寿命が短いアルファフライではこうはいきません。
想定よりも速いタイムを計測
「このシューズは己が思うよりも速いタイムで走れる」とあるので疑心暗鬼の中で試してみました。
実際に「この1キロは多分○:○○」と予測したタイムよりもキロ当たり5〜10秒くらい速く走れます(自分比)。
これを履けばより速く走れることは間違いありません。しかしそれはテクノロジーのおかげであって走力が上がった訳ではないことは真摯に認識するべきです。基本的な走力の底上げの継続はやはり必要です。
走ってから購入を決めた方が無難
少なくとも我が家で24,200円という定価は、ポンと出費できる値段ではありません。よって失敗したくはないのが本音、試し履き or 試し走りがしたいところです。
でもショップで足を通してその辺を歩いただけでは何もわかりません。
私がよく利用している日比谷ラフィネでは、シューズの貸し出し(タオルを借りると無料)サービスがあり、皇居ランしながらで試し履きができます。こういったランステを利用して無駄な買い物を避けたいものです。
走力レベルを問わない、と私は思う
レース用やポイント練習用に購入と言っておきながら矛盾しますが、テンポネクストは走力レベルを問わないシューズだと個人的に思います。
極端ですが上述したようにウォーキングでも使用できそうですし、上手く走ればウルトラマラソンでもクッション性の恩恵を受けそうです。
ただ全てのランナー向けとはもちろん断言はできません。時代と言ってはそれまでですがヴェイパーフライの発売以降、ランナーの方がシューズに合わせた走りをする必要性が出てきました。このシューズも例に漏れず、ポテンシャルを活かすには慣れが必要です。
購入してひと月、本当にこれが自分にとってのベストシューズなのかはもう少し時間が掛かりそうです。現時点ではズームフライ3がベストですが、追い越していく可能性をテンポネクストには感じました。
追記:2022.1.7 東京の積雪2cmの雪上、ここでは雪の柔らかさもあって、今後も感じないであろう異次元のクッション性を体験