この秋※多くの大会が予定通りにランナー募集を開始し始めたことは、ここ2年間コロナ禍により大会中止オンパレードを嫌が上にも経験したランナーにとって朗報となりました。
しかし蓋を開けてみると、コロナ前と比べ何かが違います。
そう明らかな相違点は、メジャー大会が軒並み定員割れとなり、エントリー締切後に2次募集をしているではありませんか。
私はエントリー開始日時に合わせあくせくとエントリーを完了させたのに、翌日にいや数日間経っても未だにエントリー可能な状況を見て拍子抜けしてしまいました。
マラソン大会エントリーに挑むクリック合戦はいずこへ、奈良マラソンのような人気大会でさえ先着エントリーが数日間埋まらない状況が定番となりました。
※この記事のエントリーは2022年秋ですが、2023年秋もこの傾向はさほど変わっていません
鹿が横切る奈良マラソン
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マラソン大会が定員割れの理由とは
今月のランナーズに興味深い記事が掲載されていました。
川内優輝氏がランナーに向けて放った質問、エントリーをなぜ控えるのか?を問うアンケートを取ったものです。
1万人のランナーがそれに回答した結果ですから、現在のランナー心理を十分示しているものです。
エントリーしない理由とは?
① 参加費が上がり過ぎ
② 直前で中止の可能性がある
③ 感染症対策でおもてなしが期待できない
④ 大会参加は時期尚早
以上①から④がエントリーを躊躇する理由として記載されています。①と②で85%強の回答を得られた結果から、定員割れの原因は参加費高騰と未だ直前の中止が懸念されるからということになります。
① 参加費が上がり過ぎ
明らかにコロナ禍を境にエントリーフィー(マラソン参加料)が上がったことが、エントリー控えに大きく影響しています。
参加費値上げの主な理由は、コロナ対策費や警備費として計上された経費です。
コロナ対策費は消毒液やマスク、検温機などのインフラ、また陰性検査費用や体調管理アプリなどの経費です。
また警備費は団塊世代の雇用を担保する意味合いがあるものの、交通整理やセキュリティ確保は必要なもので削るに削れない分野でもあります。
ただ今後政府のコロナウイルスへの対応の舵取り次第では、以前と同じ参加費まで下がって来る可能性はあります。
参加Tシャツ、完走メダル、フィニッシャータオルは希望者のみの購入にしたり、健康管理アプリや芸能人ゲストなどの削れる項目は削除し、少しでもランナー目線に立てばエントリー代金はもっと安くできると考えます。
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② 直前で中止の可能性がある
ここにきてマラソン大会運営側は、あの時の代償を払うこととなりました。
2020年初め新たな感染症が世の中に広がり始めた頃、その影響で中止となったマラソン大会の多くで、走っていないのに代金が返金されない理不尽さとランナーは向き合いました。
マラソンに接する温度差はランナーの数だけあり、規約だからしょうがないと大人しく反応したランナーがいた反面、興行イベントを中止としておきながら返金されないことはありえないとの反響も当然多く存在しました。
何ヶ月も前からホテルを押さえたり、航空券や新幹線を予約、有休休暇を取得して日程を整え、数ヶ月かけて練習を積んできた末に、緊急事態宣言発令と共に開催間近の中止オンパレードにはほんと辟易しました。
特にコロナ初期の2020年春の大会はさすがにしょうがないと思ったものの、昨シーズン(2021-2022年)に関してはWhyと投げかけたランナーが大半を占めました。
諸々のキャンセル料だけ取られたうえに、大半のお金が返ってこない体験をしていますから、裏切り行為とも取れる大会側の対応がトラウマとなっており、今シーズンも慎重にならざるを得ないのが事実です。
募集したからには覚悟を持って開催して欲しい
ランナーズ2022年12月号より
個人的にはこのコメントが腑に落ちました。
コロナ禍であっても開催すると決めて募集を開始したのなら、待ちに待ったマラソン開催を信じて練習してきたランナーにとって、感染者数の多寡だけで開催中止を発表する大会側への不信感は相当なものでした。
そういった意味で2022年3月東京マラソン財団の開催への決断には、今思い返しても大きな拍手を送りたいと思えます。
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③、④の理由よりも肌感覚ではコレ
ランナーズ誌面で上がった上述の③や④は、エントリー数が減少した一要因としてあるのですが、コロナ禍でマラソン大会がなくなり、ランニングへのモチベーションが低下して走ることをやめてしまった層を忘れてはいけません。
特にコロナ禍が始まる数年前から2020年春にかけてランニングを始めた方にとって、初参加のマラソン大会やランニングイベントの中止が当たり前となったことで走るチベーションが著しく低下したはずです。
大会自体が消滅してしまい目指すべき目標がなくなり、走る意味を見出せなくなったランナーが周りに数人いるからよーく理解しているつもりです。
抽選だった大会が2次募集を開始
応募者多数となれば参加は抽選となるのがマラソン大会の通例、数倍の狭き門をくぐり抜けて走れる喜びが以前はありました。
しかし2022年秋※は、大抵の大会で当選発表を終え入金期限が過ぎると、なぜだか2次募集を行っているではありませんか。そこに大きな違和感を感じました。
例えば京都マラソンはエントリー終了後に抽選倍率1.6倍で確定するような人気大会ですが、それなのに当選者の辞退が多発し後日1000人の追加2次募集となりました。
さすがにこの2次募集は落選者のエントリーがあり早々に埋まったのですが、参加へ意思表示をして出走放棄の理由は何があるのでしょうか?
私自身が京都へエントリーして当選したのですが、同日の他開催や1,2週間前後の大会を天秤にかけてたため、いくつかの大会へ多重エントリーしていました。
これは抽選結果を待ってから参加するマラソン大会を決めたいゆえの行為となります。これ自体はルール違反ではなく、年明けの大会スケジュールをギリギリまで吟味したいからに他なりません。
今回の京都は当選したランナーの辞退が余りにも多く、辞退者を見越して当選数を調整した大会側が1番面食らった感じとなりました。
※2023年秋もこの傾向はさほど変わっていません
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接種証明や陰性証明はもはやいらない
今現在 (2022年秋) 多くの大会にて参加条件が提示され、その内容は3回目のワクチン接種証明やPCR検査等の陰性証明が必要となってます。
今となってはワクチン接種は感染拡大予防効果はなく、証明書自体はマラソン大会開催に必要とは思えない存在となっています。
マラソン大会へ参加するためだけにワクチン接種したり、PCR検査等を受けなくてはならなく無用な負担が増えています。こんな理由で参加を躊躇するランナーだって一定数いるはずです。
ただし、ちばアクアマリンマラソン、松本マラソン、松江城マラソンなどはコロナ関連の証明書は無しで出走可能と変更になりました。
これらの大会は途中から必要ありませんと方向転換、主催者側が情勢に合わせて臨機応変に対応した結果で好感が持てます。そんな大会がある一方、建前だけで実施する大会があるのが現状となっています。
抗原検査
まとめ
マラソン大会の募集定員割れの理由は今まで述べてきた通りなのですが、それ以外には単純に需要と供給のバランスが崩れていることが根底にあります。
ブームに乗って増加したマラソン大会は過剰供給となり、今後独自性があってリピーターに愛された大会は規模の大小を問わず残り、特徴のない中規模以下の大会は採算が取れず淘汰され消えてゆくのです。
たとえ大都市圏で行われるメジャー大会であっても、中止に伴う返金問題や直前での中止決定による運営への不信感が強く根付き、一度失った信頼を回復するには長い時間が必要となります。
それは今年の大阪マラソンを例に見ればわかることです。
昨シーズン開催わずか11日前に一般ランナーの参加中止を発表、23000円の参加費のうち17500円を返還はしたものの、翌週の東京マラソンが一般参加も含めて通常開催を決断したことが決定打となりました。
なぜ東京がOKで大阪はOUTというダブルスタンダードは、ランナーの理解を得るには至りませんでした。
今年の出走権を持った2万人のランナーはそっぽを向き、7000人もの欠員となったのは当然の帰結と言えます。
でも大阪マラソンだけを責めるつもりは毛頭ありません。なんせ私の今シーズン本命レースは大阪マラソンでエントリー済みなのですから。
川内氏が「マラソン大会へ参加しよう」と声高に呼び掛けても、多くのランナーはお金が返って来ない直前中止のマラソン大会がもう嫌なのです。
エントリーした時点で全てを容認したという契約ですから、文句があるなら鼻っからエントリーしなければいい、という個人的スタンスは以前から変わりません。
じゃぁ本当に参加しないよ、と決断したランナーの皆さんが実に多かったこと・・・そんな現実を目の当たりにした2022年秋でした。
新国立競技場
(東京レガーシーハーフ参加時)
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