大会翌日身内のお土産を購入するために駅内を物色、焼き鯖寿司の店員さん曰く、「昨日はいつもの5倍売れました」マラソン大会開催による経済効果が予想を上回る凄さだったと仰っていました。
フルマラソン開催最後の県福井県、ついにフルマラソンが春の越前路へやってきたのです。
色々と開催前から注目度が高かったふくい桜マラソン、結論から言うと期待通りの大成功だったと申し上げます。
残念ながら今年は開花が遅れ桜を見ることができなかったのですが、終盤の川沿いに続く桜並木、もし桜が咲いていたら最高のロケーションだったでしょう。
でもコース脇に桜は咲いていませんが、コース上にはたくさんの桜(ピンクの参加Tシャツ)が咲いていました。
※この記事は長いので飛ばし読み推奨
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ランナー大迫傑がプロデュースする大会
2024年パリ五輪代表の大迫傑選手を大会プロデューサーとして招聘した時点でこの大会は只者ではありませんでした。
スタートセレモニーで遂に大迫傑氏が登場した瞬間ひときわ大きな歓声が上がり、さらに驚くことに2週間後にボストンマラソンを控えた彼が今日一緒に走ると宣言したのです。
この瞬間に周囲も私も興奮が完全に振り切れました。
私がマラソンを始めてから一流選手の走りに感動したレースが数レースあるのですが、あの2020年コロナによって直前の一般参加中止 (私、被害者 ) となった東京マラソンにて、当時の日本記録を達成し雄叫びを上げながらゴールしたあのシーンは忘れられません。
現時点で市民ランナーが大迫選手とスライドできる地方大会は福井だけ、私自身が大迫選手に惹かれて大会参加を決めた口です。そのネームバリューはエントリー増加に寄与しました。

前日受付会場にて
コース特徴
フルマラソンを走った軌跡 (TATAより)
福井はどこも恐竜推し、GPSコースアートが恐竜
走った軌跡が恐竜の絵になるなんて、ローカルイベントならまだしも都市型大会でやろうとする発想が上振れしています。
面白いことこの上ないのですが、弊害として曲がり角が多くなってしまうことは愛嬌です。
恐竜コースは今どこまで走ってきたかイメージできやすく、丸岡城まで来ればまだ今は頭だとか、河川敷では今は胸だとか、9.98スタジアムでは尻尾まで来たと認識できるのでゴールまで飽きがきません。
まさかですが毎年コースが変わったらさらに驚愕、例えば来年はケラプトキプスとか、コース変更の可能性は恐竜の種類だけあるのですから。
福井駅にて
基本フラット
走る前にコース図を眺めて気づいた点は、曲がり角が多いことと数少ないアップダウンは基本川を渡る橋で発生するコースということです。
季節柄西へ向かう河川敷は向かい風になりやすく、実際暑さで参っていた私をクールダウンしてくれ幾分息を吹き返しました。
そして確実に減速する折り返しが1つもないため、この点で記録を狙いやすいコースと言えます。
ふくい桜マラソンスタート地点
名所巡り
ふくい桜マラソンで巡る特色ある主な名所は、丸岡城、九頭竜川、9.98スタジアムと最終盤の足羽川沿いの桜並木です。
知らない人から見れば9.98何のこっちゃなのですが、知ってしまったら最後で感慨深く同じトラックを走らせていただきました。
9.98スタジアム:2017年桐生祥秀選手が日本人初の100m日本新記録 (9秒98) を叩き出した競技場
今までスタートやゴールが陸上競技場だったことは数多くあったのですが、フルマラソン途中でトラックを2/3ほど走り抜ける大会は初めてです。日本記録が出たトラックという希少性とその場を体感できるコースを与えてくれた運営側に感謝です。
九頭竜川 (大会翌日に車窓から)
周囲と足元に注意
コースの道幅が狭いところがあり周囲のランナーとの間隔に気を遣いました。
また路面電車の線路を横切る際にそこにゴムマットが敷かれています。でも線路の凸凹を足裏で感じたので着地次第で躓く可能性はあります。実際スタート直後のゴムマットで右前の走者が転倒していました。
そして路面そのものの凸凹問題です。ここでも路面コンディションが悪く躓くランナーを数名見かけました。
田舎道は更新が頻繁ではないため轍が深く、冬期はチェーン装着の除雪車が頻繁に走るので道路が傷むのです。これは雪国の宿命、新潟県生まれなのでよくわかります。
ランナーへの配慮、おもてなしが秀逸
この日のために他大会を研究して何度も何度も協議を重ねたのでしょう。
運営側が総力を注ぎ込んだふくい桜マラソンは、唯一無二の特色を際立たせようと工夫を凝らしたマラソン大会で多くのランナーを惹きつけました。
未だ手探り状態の第1回開催なのにランナー満足度が高かった根源がここにあります。
地元特産の給食
公式HPより
エイドに地元色がありご当地ドリンクのさわやか、若狭牛コロッケ、ソースカツ丼、厚揚げ、越前蕎麦、焼き鯖寿司、竹輪、梅干しと銘菓が提供、後半はファンランへ切り替えていたので立ち止まっていただきました。
越前そばからの9.98スタジアムの演出は、考えられたものでここが今大会のおもてなしMAX地点なのです。
越前そば手前の厚揚げは私の走行ゾーンでは不人気で誰も取ろうとしません。「福井来たなら食べて行きなさい💢」とフルマラソン初のエイドでお叱りを受けたので戻って美味しくいただきました。
そして越前そばは38キロも走ってきてマズい食事なんてあろうはずがないのですが、お汁にせよネギにしろ椀のバランスが絶妙でした。
「もう一杯」と言いたいところでしたが、後に続くランナーのため、そして次の焼き鯖寿司を入れる胃袋のために先へ進みました。
焼き鯖寿司は取る予定は当初なかったのですが、左から右へ進む過程で自然と手が伸びます。富山マラソンでは鱒寿司を走りながらむせて米粒を吹いたのですが、ここは完全に足を止めてゆっくりと賞味しました。
レース前夜もソースカツ丼と越前そば
動線がストレスレス
前日の受付会場まで、当日の福井駅からスタート会場まで、そしてゴール後の動線については誘導も含めてストレスはありません。
駅周辺が広範囲でメイン会場なのは、今シーズン参加した姫路や静岡と一緒で、電車を降りてからのアクセスが非常に良く動線がスムーズなのです。
メイン会場が程よく広いので1万人以上の混雑感がありません。
ゴール後に関しては、導線に沿って完走メダルやタオル、福井の銘菓 (五月ケ瀬や勝家太鼓どら焼き) を受け取り手荷物ゾーンへ移動します。そこでのボランティアからの拍手や労いの言葉が温かくて涙腺が緩みます。
路面電車が走る大通りをゴール会場と手荷物預かりエリアにしてしまう発想、あちこち階段を上ったり歩かされるよりわかりやすい動線でここでも運営の大胆な決定に感服します。
誘導看板が分かりやすい
トイレが多い
ズラッと確かに多い (大会前日)
スタート会場とコース上のトイレ数が多いとの声が多数寄せられました。ここ最近の大型大会では少なくて当たり前となっていて珍しいことです。
スタート前のトイレ列には最後尾案内や空きの誘導があり、全国見渡しても万人規模の大会でトイレ数が適正で渋滞が少ないことには驚きを隠せませんでした。
ユーモアもあり
少ないと思われた応援が途切れない
沿道にはそれぞれの地域の方達が沢山外に出てきて声援を送っていました。地元一眼となって盛り上げようとする空気感を走りながら感じていました。
正直失礼ながら福井県の勝手なイメージがあって、ここまで沿道応援が多いとは思っていませんでした。
健やかな表情から送られる声援から歓迎をひしひしと感じることができました。
恐竜も歓迎
更衣室が立体駐車場で天気に左右されない
全天候型の立体駐車場
更衣室は立体駐車場をまるまる利用します。これはこれまで参加した佐賀マラソンや姫路マラソンと同じだったので抵抗ありませんでした。
更衣が天気に左右されないことが最大の利点です。誰よりも寒がりの私にとって雨と寒風から逃避できる施設はありがたい限りです。
また立体駐車場内の上階への移動が階段ではなくスロープなのが◎、フル後でも階段を登る必要がありません。
レース前、準備が整ったらいざ出陣
前日受付が必須ではない
EXPO
第1回からこの対応には大きな拍手を送りたいです。
なぜか前日受付をさせたがる大会が多いこと、前泊が前提の私みたいな参加者なら良いとして、中途半端に離れた県内在住だと移動負担が計り知れません。
ここふくい桜は前日受付なしの事前送付オプション (有料) を選択できることにより、福井駅までの無駄な移動が減って時間と体力を温存できます。
私は新幹線移動でなまった身体をほぐすため、受付兼EXPO会場の福井市体育館へ徒歩20分掛けて訪れました。 (無料シャトルバスや路面電車もあり)
地方都市のEXPO会場は過去の体験から期待薄だったのですが、スポンサーや地元企業、自治体ブースは訪問した土曜日正午過ぎは賑わっていました。
EXPOでいただいた品々
駅前イベント
ホテルのチェックインまで時間があるので、駅周辺の探索と前日受付後は福井駅併設のハピテラスに向かいました。
マラソン前日イベントがそこで開催されており、ゼッケンを提示することでおしるこを頂けました。(前日受付前に並ぶとビブス引換券では食べれません)
また当日にはここで表彰式と大迫選手のトークショーが行われています。
半屋内で響き渡る迫力、歓迎ムードが凄い
路面電車もバスもストップして会場設営
県庁所在地の駅前中心地域を夕方まで交通規制、そして路面電車やバスを夕方まで運休してまでここをスタート&ゴール地点に据えた運営判断は素晴らしいものです。
これがあって上述したスムーズな動線が生まれたのです。
ここまで開催に賭ける意気込みが強い大会が過去にあったでしょうか?あの評価高い愛媛マラソンでさえ坊ちゃん電車を止めたのはスタート時だけです。
ただし参加者としては、マラソン大会のために市民生活に影響を与えてしまって申し訳ない気持ちでした。
福井鉄道
完走メダルの使い道
完走メダルは飾っておくだけのものではなく、メダル部分がキーホルダーとして利用でき、首紐部分が社員証などのカード入れや、スマホと繋げるネックストラップになる優れものでした。
アイディアが出尽くしたと思われた完走メダル、ただ飾っておしまいではない新しい試みにまたも拍手です。
第1回大会からこの提案をし、実際に遂行した運営に脱帽です。きっと想像力豊かな運営人の集まりなのでしょう。
完走メダル
ランネットの大会レポより
2024年4月10日現在RUNNETの大会レポへ投稿したランナーは1000人に迫ろうとする数に達しました。こんなに多くのレポが集まる大会は非常に稀です。
それだけランナーの間で注目度が高かかった証です。そんなレポを箇条書きでまとめてみました。
・トイレ渋滞が他大会よりマシ
・ボランティアのレベルが高い
・スタート直前にブロック周辺を周るゴミ回収ボランティアが欲しい
・スタート直後のエイドが左右両側にあり混雑緩和
・コース上のボランティアにゴミ袋を持たせて欲しい
・「次のエイド (トイレ) まで○km」表示あり
・「最後のゴミ箱」表示あり
・道幅が狭い箇所が多くあり接触した
・6時間ゴールでは給食が売り切れていた
・ゴール直前で福井県知事が警備なしで応援
・福井駅史上最大の人混み
・福井ー敦賀間が2両編成で1時間に1本では捌き切れない
・会場の看板が大きくて分かりやすい
・エイド手前で給食内容を掲示して欲しい
・ブロック閉鎖がスタート15分前と遅め設定
・電車の混雑で乗れない人が出た
ーRUNNET大会レポから簡易抜粋ー
確かに分かりやすい (前日撮影)
宿が取れない
まず福井市内で宿が取りづらいことに関しては昨年記事にしました。
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ふくい桜マラソン|福井市内の宿が満杯になったって
前回の記事に続いて宿探しのネタが続きます。 最近ランナー間で囁かれている驚愕の事実、それは2024年3月開催ふくい桜マラソンの宿が取れないことです。 エントリー中から福井市内 (特に駅近) のホテルは ...
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宿泊者数に対して福井市内のホテル部屋数が遥かに少なく、宿に関して明らかにキャパオーバーとなっていました。
遠方からのランナーは宿泊先確保がふくい桜マラソン参加の絶対条件です。2025年以降に参加を希望されるランナー様は宿泊先確保に尽力して下さい。
宿確保の対策についてはこちらを参照にして下さい。
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マラソン大会参加で前泊予定、でもホテルの予約が取れない問題とその対策について
これから冬、そして春に向けてマラソンシーズンが佳境を迎えます。練りに練って決めた遠方のマラソン大会を決めたら次にすること、そうですそれはホテル予約の検討です。 大会前日から満を辞して現地入りする前泊と ...
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熾烈なクリック合戦で押さえた東横イン客室から (当日朝)
新幹線以外の公共交通機関の便が悪い
東京から直で福井へ
関東から北陸新幹線で現地入りし福井駅前に宿泊、全行程で交通の便の良さだけが目立ったのですが、様々な書き込みを読むと関西圏からの移動は悪化していました。
北陸新幹線延伸に伴い特急サンダーバードが敦賀止まりとなったことで、関西からは敦賀で第3セクターへ乗り換え必須となってしまい、さらに運賃も割高となったことで新幹線開業が改悪というレッテルを貼られました。
また新幹線以外の福井駅までのアクセスが極めて悪く、敦賀や金沢方面からの在来線は行きも帰りも尋常ではない混雑で危険レベルの超満員列車です。
増便 (単線だと限界あり) や車両の増量 (ホームの長さ的に難しいか・・) を期待、運営側と鉄道会社との連携が来年以降の課題として残りました。
えちぜん鉄道は1両編成 (翌日に東尋坊まで)
天気の傾向
3月下旬の天候は基本的に全国どこ行っても安定しません。
冬のカラッとした低温で走りやすいマラソン日和は運次第ですが、気温20℃オーバーの晴れというまだ暑熱馴化してない身体に酷な条件も待ち受ける覚悟が必要です。
2024年ふくい桜マラソンの天気は1週間前から数サイトをチェックしていたのですが、春らしく様々な予報を出してきました。さすがに3日前予報で実際の当日予報に収まったのですが、今年は低温は望めませんでした。
2024年3月31日
天候 : 曇り(時々晴れ)
気温 : 号砲時15℃、昼間17℃ 風速 : 1-3mで穏やか |
後日公式発表で8:30時点で気温15.3℃、湿度81%で湿度の高さが発汗を誘いました。
ノースリーブのシャツは今年最大に汗でびしょびしょになり、目標ペースを維持できたのはハーフまででした。
しかし天気次第では真冬並の気温があることは事実、この記事を書いている4月上旬に福井で最低気温3℃がありました。フラットコースでもあり気温は運次第で記録が狙える条件となります。
恐竜が生息した時代は20℃くらいが標準とか
観光ならここがマスト
遠征マラソンの楽しみの一つが周辺の観光巡りです。土地勘が全くない私が福井に初めて来訪、さぁどこを観光しようかと考えた結果、同方向にあるためセットとした下記2択まで絞りました。
1. 東尋坊 & 芦原温泉
2. 恐竜博物館 & 永平寺
早めに福井入りして土曜日とマラソン翌日に分けるか、またはフルマラソン翌日に早起きして (私には無理) 向かえば4ヶ所網羅できると思いますが、現実的にどちらか一方となります。
恐竜博物館は捨てがたかったのですが、それよりも日本有数の景勝地を眺めたいがために東尋坊を選びました。
東尋坊 (大人1800円の観光船より)
東尋坊に別れを告げたら帰りの新幹線まで芦原 (あわら) 温泉にてシーズンの疲れを癒したく、日帰り温泉施設「セントピアあわら」を訪れました。
芦原温泉の日帰り入浴は各旅館一律15:00からとなっており、旅程を考慮すると10:00開館のここ一択となります。
ついてない・・・

駅近くの源泉かけ流しの足湯で整える
(湯温43℃)
いや〜また参加したい度
第1回目の大会への不安感はみえ松阪が払拭した体験があったので、今回のふくい桜も期待感の方がはるかに上回っていました。
数年間に渡り入念な準備を要して日本で一番最後のフルマラソン大会となった福井県、改善点はベテラン大会でも必ずあるのが常ですが、その少なさが今後のリピーターを生む1要素となります。
ふくい桜は他大会を参考に検証、提案した企画を用意周到に実行した大会であり、運営方針がランナー目線で細かい配慮を随所で感じられました。
数年前と違いこれからは第1回目の大会の方が満足感を得やすいのかもしれません。なんせ成功させなければならないプレッシャーが大きいですから。
初回のふくい桜マラソンの成功は関わった全ての人の努力の賜物です。
運営や地元の熱意を肌で感じて来た身として言えることは、来年以降ふくい桜マラソンは確実にバージョンアップするということです。バージョン2.0のさらなる発展と満足度を期待するとしましょう。
いや〜また参加したい度
打ち上げは海の幸