江戸時代260年間も続いた太平の世、その礎を築いた徳川家康像 (上の写真) が見つめる先に、現代の静岡マラソンスタート地点はあります。
スタート会場はその像がある駿府城跡周辺となり、敷地の大きさやスタート地点への動線に制約があるものの、寒い中40分間をブロック待機する覚悟があれば、早め行動にて手荷物預け、トイレ、アップまで済ましてブロック前方に並べます。
ここはシーズン終盤に訪れた高速コース、しかも今日 (2024年) はマラソンに最適な気象条件ですからPBを狙わない手はありません。
結果どうなったかは置いておいて、そんなこんなで参加してみて感じた静岡マラソンの魅力や気になった点を紹介していきたいと思います。
2025年以降静岡マラソンへ参加するランナーの一助になれば幸いです。
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静岡マラソンの魅力3選
私が静岡マラソンを9年ぶりに快晴の中で走って感じた褒めちぎりたいほどの内容を、特に以下3点を強調してお伝えしたいと思います。
静岡マラソンにとって運営上、これからもランナーを惹き付ける大きな武器となる要素です。
魅力1:記録が狙える高速コースあり
コース図
公式HPより
ランナーに対して少しでも魅力ある大会とするため、運営側はベスト記録が狙えるコース設定へ変更する傾向にあります。
ここ静岡マラソンも初参加した2015年当時と比べ、コース変更を繰り返すことでより高速コースへ舵を取ってきました。
最大高低差が30mにも満たずスタートからゴールへは20mほど下っているため、スタート直後から下り基調でペースが勝手に上がり、前週の東京マラソンのようにスタート直後からスピードに乗りやすいコースです。
高低図
公式HPより
それに加えてコース全般で路面舗装がクリアで走りやすく道幅も十分な広さ、15kmまではキロ単位での緩い上り下りはあるが、その斜度に気づかずにオーバーペース気味になりやすく、序盤はしっかりと時計を確認して乱ペースに注意したいです。
直線基調のコースでフラット好きには堪らないワンウェイコース、これだけのコース条件だと天候コンディション次第でベスト更新が狙えます。
己に挑戦するランナーにとって、実にチャレンジングなコースが静岡マラソンの魅力のひとつとなります。
スタートブロックはゼッケンのチェックでしっかり管理、
この柵を乗り越えるランナーはまずいない
魅力2 :晴れればそこに絶景あり
2回目の安倍川を渡って国道150号線に入った時、その絶景が静岡マラソン最高のハイライトとなりました。
冬晴れの青空に雲を一切纏わない富士山がドーンと現れた瞬間でした。それはもう圧巻のひとことで寒くないのに鳥肌が立ちました。
雪帽子を被った富士山を、フルマラソン大会で眼前に見ながら走れる喜びを目一杯感じていました。年間を通してもここまで霞みなくそして雲なくハッキリと見える日はそうありません。
写真はイメージ
(マラソン翌日で雲あり、電車の車窓から)
フルマラソンではキツい区間ですが7月末にアレに挑戦する身として、眩いばかりの富士山を目の前に根を上げるわけにはいきません。
また街から田園、川沿いから海へと変化に富んだ景色を堪能でき、青い空に映える安倍川、富士山、伊豆半島、駿河湾を目の肥やしにここは何て贅沢なコースなんでしょう。視界が開け開放感があり海の水面がキラキラと光り輝いていました。

ただしこれは全て快晴あってのことです。
2024年は低温で微風の好条件、これで曇りならば文句なく最上級のマラソン条件なのですが、静岡マラソンでは絶景のために雲はいらず快晴でなくてはなりません。

魅力3:エイドに静岡色あり
これこそ走りながらスマホ所持して撮影すべきだったのですが、タイムを狙っているフルマラソンでは基本持って走りません。
よって残念ながら静岡の地を感じられるエイドの写真はありません。以下文章でお楽しみ下さい。
いちごが美味い
別名苺街道と言われる海沿いの久能 (くのう) は石垣いちご (詳しくは静岡市HPへ) が有名です。そのいちごを惜しげもなく提供してくれるのが静岡マラソンです。
個人的に普段から当たりが少ないと感じているフルーツがいちごです。しかし静岡で提供されるいちごは甘味と酸味バランスが絶妙です。
どちらかと言えば甘みが勝っていてランニング中なので美味さ倍増、しかも紙コップに入れられたいちごはその見た目がどれもとっても綺麗でした。そんないちごが驚くことに2ヶ所で提供されます。
記録を狙っているランナーばかりの私の周りでは誰も取ろうとしない中、私がイチゴの存在に気付いて進路をコミカルに変えて取りに行ったら、ボランティアの女子達が急に大はしゃぎしてくれて嬉しくも楽しい場面となりました。

エイドにおでん
22km地点にどっしりと鎮座する「いっぷく処」というスペシャルエイド、岡山マラソンのラーメン給食みたく最近の大会ではコースから一旦離れた場所で特別な給食を提供する大会が増えています。
ここでしぞ〜かおでんが提供されます。しかもちょこっと一口サイズではなく、本格的静岡おでんがフルサイズで食べられます。ここもいちご同様記録狙いのランナー泣かせのエイドとなります。
言うまでもなく公式にて本格的おでんが振る舞われるフルマラソン大会はここだけです。
他にもある
いちごとおでんの他にもバナナ、かりんとう饅頭、安倍川餅2カ所、菓子パン、飴などがあり、中盤以降では私設エイドも数多く地域にマラソンが浸透している実感がそこにはありました。
駿河湾海岸線コースが肝
静岡マラソンは難所と言える箇所はないのですが、駿河湾が見える海沿いコースは風次第では最大の肝となることをご承知おき下さい。
2024年大会は過去の静岡マラソンの中で最高のコンディション、低温の微風で運良く天候に恵まれました。
2024年3月10日の天気
今年は南風の追い風となり暑さを感じるほどでしたが、この海沿いの25km地点から10km以上続く直線は向かい風が吹くと一転して苦難のコースへと変貌を遂げます。
ここは天気によって味方にも敵にもなり、追い風でも向かい風でもこの区間をいかに耐えて好パフォーマンスで走るかが静岡マラソンのポイントになります。

1週間前の鴻巣パンジーマラソンで体験した暴風の向かい風、あれが10キロ以上に及ぶとなれば確実に心が折れてしまいます。
物申したいところ
決して良い所だけがあるのがマラソン大会ではありません。
ランナーにとっては回数を積み重ね洗練された大会が好まれる傾向にあるのですが、ランネットの大会レポ上位の大会は正にランナーの声をフィードバックして改善された大会です。
そういった意味合いではこの静岡マラソンはまだまだ発展途上であり、参加してみて私が特に気になったマイナス面を以下に列挙してみたいと思います。
参加賞Tシャツは事前送付でいいのでは
受付が廃止されたことは好印象でしかないのですが、「参加賞Tシャツ」を現地受け取りにするのはナゼなのでしょうか?
特に当日走った後、受け取り場所に気付かずに帰宅したランナーが多数いました。これはビブスと一緒に郵送すれば解決となる事案です。
給水所は多いけどゴミ箱が近い
給水所は2.5km毎にあり他大会よりも多めの設置で好感が持てます。
個人的には15分に1回給水が訪れる感じでタイミングが良く、取り敢えず今回は水飲んでこう、とか今回はスポドリちょっと含んでおこう、とか臨機応変に給水できる環境には助けられました。
ただし指摘が多かった紙コップを捨てる「最後のゴミ箱」までの距離が短く、飲み干す前にゴミ箱が終わってしまうため忙しないことが難点でした。

トイレへの配慮
大会当日朝、まだ誰も並んでいない
男子の小専用便器は会場内に多く設置されていました。これは他大会では見たことないコンパクトな形状で、スペースを取らないことが利点となります。(↑上の写真↑)
小だけなら男子はすぐに終わるのでこの便器を増やすことで、大便と完全に列を分けることができトイレ行列を捌きやすくなります。
ただし気になった点は女性専用トイレがないことです。列に並び自分の番が来たとして、次に男性が入ることは避けたい場面となるはずです。
逆に用を済ませて次に女子が入るとなると男子も恥ずかしいし、私の様に激臭を残すことは申し訳なく思えてきます。ですからトイレの男女別配慮は必要です。
ゴールまでのカウントダウンキロ表示がない
コロナ前も含めてここ10年参加したフルマラソン大会にて、ゴールまでの残キロ数を表示する看板がない大会は確かないはずです。
最近では当たり前となっていたことから、無いと物凄く違和感ある最終盤でした。
これは悪く言えば痒いところに手が届いていない大会レッテルとなり、あと2キロ、あと1キロ表示がないのはメンタルに響きます。
ゴミ箱がない
これも最近の大会では珍しく、スタート会場にもゴール地点にもゴミ箱は見当たりませんでした。
各自が自宅へ持ち帰るようにとの意図なのでしょうが、帰宅するまでに処分できる場所があれば捨てて帰るのがランナーです。
宿泊組もチェックアウト時にゴミを部屋に置いてくるはずですし、結局その地域内でのゴミ負担は変わらないのならゴミ箱は置くべきだと私は思います。
あった方が良い (東京30K)
後に飲食できる場を
ゴール会場にはイベントブースがありません。物販や飲食ブースがないので、ゴール後は着替えて早々に電車帰宅となります。
これでは物寂しいと感じますから、海鮮物とかの静岡の味覚を集めた飲食ブースの充実を期待します。
あとはご当地物の給食はコース上のエイドだけではなく、ゴール後にも設置していただければ記録狙いのランナーにも行き渡ると思います。
いちごやおでんに惹かれはしますが大抵のランナーは記録狙いに静岡に来るのですから、ゴールし終わったら有料でもいただきたいのが本音です。
こう見えて飲食ブースはなし
いや〜また参加したい度
静岡マラソン創設当時は雨が3年連続となり、9年前に参加の際はずーっと土砂降りで富士山はいづこへ状態でした。静岡は天候にあまり恵まれない大会という印象が残っていました。
しかし2024年はコロナ明けで5年ぶりの開催で神が降りたか、気温低めで追い風もありとても運が良い年となりました。
日本を象徴する富士山の絶景を目の前にして、練習を積んでフルマラソンに挑戦できることに心から幸せを感じ、このような景色を見るためにこれからもランニングを続けていこうと誓いました。
静岡マラソンは参加ランナーの数、コース設定、会場の広さ、沿道の応援など全てが適度なボリュームで心地良く過ごせる大会です。
ですから東京マラソンを落選したら、シーズン最後に静岡でベストタイム狙いといきましょう。
いや〜また参加したい度
駅直結の清水駅がゴール会場