夏は川沿いをゆったりと走って癒されるのが好みです。この季節はいつもの多摩湖自転車道を離れ、近所を流れる川沿いを上流へ行ったり、下流を目指してみたりが定番のランニングとなります。
今年8月猛暑の夕方、その川沿いランニングにて、そこらのスーパー銭湯でも行って疲れた身体をほぐしたい、と思うとあのメロディが降ってきました。
♪ 貴方はもう忘れたかしら
赤い手拭いマフラーにして
二人で行った横町の風呂屋
一緒に出ようねって言ったのに
(byかぐや姫 1973年)
自分が産まれる前のフレーズとなりますが、メディアを通して何回も聞いてきたので銭湯のワードに反応して口をついて出てきました。
確か我が家からそう遠くはないはずと帰宅後に検索してみると、その神田川は井の頭公園から隅田川までつながっていて、整備された川沿いを隅田川まで走れるではないですか。
夏真っ盛り
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神田川沿いランニング
ずっと走りやすい区間が続く
神田川とは
神田川は井の頭恩賜公園 (以下、井の頭公園) に鎮座する井の頭池の源流を起点とし、浅草橋付近で隅田川と合流する全長約25kmとなります。
東京都を西から東に流れる一級河川であり、実に8つもの区 (杉並、中野、新宿、豊島、文京、千代田、台東、中央) にまたがり長きに渡り東京 (江戸) の発展を支えてきました。
源流付近では川遊び
神田川沿いコースの特徴
全国的に川沿い走路は治水目的を兼ね、走路としては綺麗に整備されている方です。神田川も例に漏れず護岸工事が全長でなされ、右岸左岸双方を走れる区間が大抵を占めます。
コース全般で両サイドに高級住宅街、都心に向かうにつれ高低あるビルに囲まれたコースとなります。
また東京都心と言えども木々が多く、川沿いは生き物の多様性が顕著となります。この日はトンボ、カマキリ、カメとの遭遇が印象的でした。
そして走っていて一番多い存在と感じた生き物は、ギャン鳴きのセミではなく・・・なんと鳩です。コンクリートジャングル東京では神田川沿いが鳩にとっての憩いの住処となるのでしょう。
鳩逃げず
神田川全長25km (井の頭公園〜隅田川)を写真で辿る
神田川の全長は約25kmと申したのですが、気分転換に橋を渡って対岸へ移動したり、川沿いの道が途絶えたり、通行止めで上手く進めずの迂回やらでトータル走行距離は29kmを超過しました。
ここ神田川沿いはランニング専用コースではないことを念頭に置き、道中を撮影した写真を中心に振り返ってみたいと思います。
ガーミンログより
家から電車でスタート地点最寄りの吉祥寺駅へ
8月の祝日・山の日は大変な賑わい
猛暑の中をバッチリ走れそうな格好して中央線に乗って吉祥寺駅へ、3連休の初日の電車車内では控えめに言っても浮いていました。
吉祥寺駅を降車するとショッピングや公園目的の恋人と家族連れが楽しそうに進む横を、軽く肩甲骨を回してバックパックの肩バンドを調整し、コキコキと準備運動をしながら井の頭公園へ向かいました。
神田川を走るならスタートは上流または下流方面の2択ですが、個人の都合でどちらへ向かっても問題ないと思います。
ただ締めのお風呂が近く開店が15:30なので、今回は吉祥寺スタートでゴールを隅田川とするパターンとしました。
それぞれの時間を過ごす人達で長閑
(at 井の頭公園)
神田川起点からスタート
写真が井の頭公園の水門橋で神田川の起点、源流がここから始まり隅田川まで続きます。ここでガーミンのスイッチを押して、今回のまったりロングランのスタートとしました。
鉄道と交わる機会が多い
井の頭線
さっそく井の頭線高架と交差したのですが、このコースは私鉄、地下鉄、JR、路面電車と多くの鉄道と並走したり、高架の下を通ったりします。
普段利用している路線が突如として現れるので、それはそれで一瞬現実に引き戻される格好となります。
西武新宿線 (高田馬場付近)
終盤は都電荒川線と並走
風景は概してこんな感じ
杉並の高級住宅街
神田川沿い約28kmぶっ通しで走って特に感じたことは、アップダウンを感じない同じ風景がそうさせるのか、ずっと同じ波長 (速度) を維持しやすくとても走りやすいコースであると思いました。
それでも大通りと交差する場所では必ず横断歩道まで迂回しなければならず、環八、環七、山手通り、国道20号がそれに当たります。ぶつかるとまず左右を見渡して横断歩道を捜すこととなります。
やっぱり神田川沿いは速いタイム計測に向かない環境となります。
山手通りと交差、真っすぐ行けない
神田川沿いは静かでランニング向き
走った日は真夏で蝉の鳴き声が走行中ずっと大きいものの、コース全般で人通りが少なく、走路に関しては騒がしいイメージは皆無でした。
そもそもが閑静な住宅街を縫って川が存在しているということ、またこの日はお盆入りの祝日だったこともあり、子供達をコース上で見かけることが少なかった日でした。
音が少ない
給水に困らない
公園が川沿いに多数存在
走った日は30℃を優に超えていますから、丁度良いタイミングで現れる公園の水飲み場が身体の冷却と給水に大変役立ちました。
事前に給水場所を調べずにスタートしたのですが、神奈川県境川の時とは大きく違って、すぐそこに水や市販の飲料水にありつける安心感は絶大なものだと改めて思った次第です。
急速冷却はスーパーにお任せ
走っていると川沿いから見える場所に、いくつかのスーパーを確認できました。
猛暑ですからここでは無理せず一服が必須、冷房が効き過ぎた食品売り場を無駄にウロウロしてクールダウンに徹し再スタートしました。
自販機も見える範囲にいくらでもあり
見慣れた場所が突然現れる
信号待ちで首が疲れたので頭を左右前後に振りつつ、最新式の薄いLED信号機をふと見上げました。そこで見えた景色がなんとまぁ夏の空が青いこと。
季節感を存分に感じられる今年の夏、それにしても太平洋高気圧の勢力がよほど強いのでしょう。台風7号だって当初の進路予想を、高気圧を避けるように大きく西に変えました。
そしてそこで気付きます。あれ?ここは?
ここは帰宅ラン時にいつも通っている井の頭通りではないですか。信号が赤点灯で立ち止まらなければ、今回は気付かずに歩を進めていたと思います。
私自身は田舎出身なのにこれまでの人生の半分を関東で過ごし、ランニングを趣味としてからこうして出会う縦横無尽に張り巡らされたランニングコースに自画自賛?したり感心しきりのロングランが多くなりました。
ゴール間近に国道6号と交差
ここは浅草に向かう東京マラソンコース
護岸工事
丸の内線、銀座線の車両基地ら辺、
護岸工事によりとても穏やかで綺麗
中野区に入ると都庁がお目見え
神田川の一つの特徴として、河川にありがちな土手などの河川敷はなく、コース全域に渡ってコンクリートにて完璧に護岸工事が施されています。
都心部になるにつれ川が掘り下げられた格好となっていて、飯田橋付近からは塀を覗き込まないと川自体が見えないくらいです。
都心部は濁りも別格
環状七号線地下調節池
2000年代に入り環七付近の地下に大空洞を造成、そこに警戒水域を超えた川の水を積極的に流し (写真の赤い仕切り版奥へ)、 ゲリラ豪雨や台風による氾濫を防ぐ目的の施設ができました。
それ自体はニュースや記事で頻繁に取り上げられたからか知ってたんですが、今回見えてきた施設に何だろうアレは?から、あ〜コレがあれかという知識と体験のすり合わせがロングランにおける突発性であり、効能の一つであるとお伝えしたいところです。
工事中で迂回
快調なランニング時ほど突然現れる
今回神田川沿いをランニングしていて、上で述べた護岸工事がどこかで行われている典型例が通行止めという形です。
コース上にて数箇所で護岸工事や橋の架け替え工事が行われていて、Googleマップやキョリ測アプリを確認しながら何度か迂回を余儀なくされました。
川が見えなくなるとランニングの趣旨まで見えなくなるからか心配になるのですが、方向感覚をお持ちのランナーなら全く問題ありません。多少離れてしまっても、あっち方向に川の存在を確信できれば、そっちの方に寄っていけばいいだけの話です。
実際それで今までも今回も、1時間以上もロスするコース迷子は1度もありません。
馬場付近は暗渠で川が見えず、
地図を確認しながら移動
神田川に江戸の歴史を感じた
関口芭蕉庵、椿山荘などが並ぶこの付近は、今回のランニングで都心とは思えない優美な趣を一層放っていました。
都心にぽっかりと存在する緑の庭園、その空間の居心地が良くてここの公園で今回のランニング最長の休憩をとりました。
江戸川公園、造形物に美がある
椿山荘を超えたところが江戸川公園です。昔ここから日本最古の都市水道である神田上水が日本橋方面へ給水されていました。
かの有名な松尾芭蕉は江戸時代、神田上水の治水工事に携わることとなり、その際に住まいとした場所がこの関口芭蕉庵です。
関口芭蕉庵
大井玄洞像
かつて江戸川と言われた神田川は度々氾濫を起こして人々を悩ましました。
それが大正時代に大井玄洞により近代的な治水事業がなされ、今に至る東京の水害軽減に寄与した護岸工事が完成しました。これはその功績を称えた像となります。
高速高架下は涼しい
神田川と首都高速
先ほどの玄洞像を過ぎた辺りから頭上に首都高速が現れます。この首都高速高架下区間は、日差しが遮られ風も心地よく吹いていたので今回特に快適に走れた区間となりました。
この日は最高気温が34℃、こんな日にロング走なんてと思う方もいるでしょう。しかし脚の具合が悪いので速くは走れないからロングランでお茶濁し。夏はオフ期間なのでいいんですコレで。
誘惑
見慣れた東京ドームシティが見えてきました。ここ前面も東京マラソンのコースの一部になっています。
東京マラソンは昨年3月のコロナ禍終焉を胸に、払拭するかのように走った思い出が蘇ります。(脚攣ったけど)
そしてそしてウインズ (場外馬券場) という施設が曲者です。あれを見るとどうしてもお馬さんにお金を預けたくなる性分だから厄介です。
秋葉原JR高架下
一難去ってまた一難、クソ暑い中を秋葉原まで走ってきたら今度はいい感じの飲み屋の応酬です。終盤だしこんな暑い日は給水で生ビールもありだろう、と思えてくるから不思議です。
大きな声では言えないのですが、確かどこかの大会の私設エイドにて、生ビールを提供して頂いた記憶 (駆け付け2杯もらった) があります。
20年前からの懐かしい風景
御茶ノ水駅付近
川の向こうに中央線と総武線が見えてきました。この御茶ノ水駅付近は20年以上前の学生の時分通った道となります。
でもでも大学に行っても悪友の誘いで授業をサボってビリヤードに没頭したことを思い出します。あの時に得た自由を謳歌する方法は少なからず今に生きています。
いまだに顕在、淡路亭
聖橋
聖橋は見た目で特徴ある橋、学生の頃ここを遊びに向かうために何回も渡っていました。都心にこんな近代的な橋があるんだと、当時は何とは無しに通過していたことを思い出します。
でも今思えばこれが神田川、古き江戸から東京を支えた歴史ある川であり、ここ御茶ノ水で豪華に架かる橋だったとは90年代後半には気にも止めませんでした。
上の聖橋のすぐ左側を向くとこの構図となります。
奥の秋葉原から来た総武線と、新宿から来た中央線、そしてこのタイミングで地下から丸の内線が現れれば3線交差のミラクルとなったのですが来ず。
屋形船が見えてきたらゴールが近い
秋葉原を過ぎると川沿いに道がなくなりビルがすぐそこ (写真確認) です。ですから川から離れて並走する道路を走ることとなります。
そんな付近から屋形船が見えてきたら、いよいよゴールが間近となります。
マップを確認していたのでそろそろゴールの柳橋が見えてくるはずと思っていたら、結構前から存在を確認していたこの緑の鉄橋が柳橋でした。
ここまで29kmマイペースでゆったりと走り、結果ゴール時間は優に4時間を超えるものとなりました。
これにプラスして時計を止めた給水時間や、スーパーでのクーラータイムが思った以上にかさんでしまい、結局今回は1日がかりのロング走となってしまったのです。
神田川沿ランニングまとめ
神田川ランニングはこんなランナー向け
- ゆっくり長く走りたいランナー
- 静かな環境で走りたいランナー
- 給水に難がないコースを走りたいランナー
- 小さな旅ランで東京の歴史を感じたいランナー
神田川沿いのランニングは、東京都心なのに雑踏的な騒音がなく(幹線道路を横切る時くらい)、季節感ある静かな平坦コースを最高レベルの給水事情が後押しします。これで私はストレスなく29km走ることができました。
また軽いノリで走り始めた今回の川沿いランだったのですが、実際に走ってみると東京の歴史が多く詰まった道のりでもありました。
松井芭蕉や大井玄洞などの事業のおかげで今の東京があるのです。
そんな先人たちに感謝の念を抱きながら歴史を堪能できるなんて、神田川沿いはなんて魅力溢れるコースなのでしょう。
体験済みの私が上位におすすめするコースです。
神田川と隅田川の合流地点から
《銭湯情報》
とにもかくにも銭湯の定休日に注意です。ゴール後に汗を流して帰宅できないことは、真夏において他所様のご迷惑となります。
◎ゴールが隅田川の場合→ 浅草橋:弁天湯
◎ゴールが井の頭公園の場合→ 三鷹:春の湯