ランニング中に遭遇する予期しない事態、長く走っていると色々なことが起こります。
鼻血が止まらなかったり、危うく車と衝突しそうになったり、下痢ピーでトイレが見つからなかったりと、時間が許せば幾らでも思い出せます。
その内容どちらかといえばネガティブな出来事が多いのですが、今回は誰かのためになって喜ばれたほっこり温かいお話となります。
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ロング走の最中に遭遇した出来事
いつもの多摩湖自転車道にて
マラソン大会に向けて35kmロング走
2023年11月某日秋晴れ、早くも今月3回目のロング走の日となりました。20km、32kmときて3回目は35kmがメニューです。
年内はマラソン大会を入れてないので、自主練習に打ち込む日々を送っています。
フルマラソンは来年2月姫路城マラソンが1本目ですので、まだ3ヶ月弱あるので例年よりかなりスローです。
よって今回の設定ペースはまたしても決めずに、股関節中心に身体を動かして出たペースで走ろうと決めていました。
6km過ぎでよもやの事態に遭遇
ランナーの大半が嫌いなインターバル走を最近始めたおかげか、走り出しから調子が良く徐々にペースUP、5km地点では想定外の4:40付近までペースが上がりました。
正直行けなくもない自信はありますが、シーズンは3月末まで長いし怪我だけはしたくありません。
よってここは一旦冷静になり、6km地点で4:50まで落ちた所で本日はこの付近のペースで走り切れば御の字とします。
そう決めた矢先のことでした。
明るい夕方前から走っていたからか、この時間帯は学生や主婦の自転車が多く颯爽と何台も私を追い越して行きます。
その中の後ろに子供を乗せた1台の自転車 (後部座席はドーム状) が私を抜いて行きす。
姿は見えませんが後部座席に乗ったお子さんに掛けているブランケットが地面まで達し、落ち葉を掻き集めたのか沢山の枯葉を従えて引きずりながら走行しています。
私の巡航速度と大差があって伝えることもできずに遠ざかって行きます。
次の瞬間でした。
ブランケットが落ちたのです。
私の走路に。
拾い上げて追いかけるのみ
沿道の男性が落ちたことを伝えたのですが女性には届かなかった模様、目の前にブランケットが迫るのですから迷いなく拾い上げて奥さんまで届けるまでです。
その差は約50mでした。
幸運なことに落ちた地点は坂の底の部分で、ここからは上り坂ですから主婦の自転車なら50m差でも坂上までに追い付くはずです。
自分が35kmロング走の最中なんてことは忘れ、とにかくギアチェンジして100%ダッシュで追いかけました。
今の私の使命は、このブランケットをあの親子の元に届けることです。
きっと後部座席で眠っているであろうお子さんが寒い思いをしないように必死で追いかけました。
不測の中の不測
は・・はな・・離されている
普段の坂道ダッシュよりも速いペースで息切らし追いかけたのですが、一向に追い付かないし離され始めています。
体感でキロ4分付近まで上げています。途中ランナーを1人抜いたのですが、ランパン&ノースリーブの本番仕様のランナーがブランケットを片手になびかせて猛然と抜き去る光景、彼にはさぞかし異様に映ったことでしょう。
華奢な奥さんが坂道でそんなに速く漕げるのは、現代テクノロジーのおかげ電動自転車がなせる業です。
今回わかった教訓、電動自転車はキロ4分を余裕で出せるということです。追い付けないから多分そう、最低でもサブ3ペースは余裕です。
やっと追い付いた
坂を上り切ってさらに加速した結果、徐々に差を詰めたんですが目の前の信号が不幸にも青を示しています。
追い付けない場合このブランケットどうしよう・・・拾い上げたことを若干後悔し始めたのですがとにかく必死で追いかけました。
あと繰り返しますが今35kmロングペース走中です。
願いは届かず信号は青のまま、でもここで再びまさかの事態が起こります。
奥さん多摩湖自転車道から逸れて左折したではないですか。
運が良いのか悪いのか今日はどっちなんだ、と思いガーミンの計測を止めて左折して姿を追います。
すると幸運なことに狭い道路で車が渋滞中にてどん詰まり、そこで止まっている所をようやく主婦を捕まえるに至りました。
いたく感謝され人のためになったと実感
開口一番、結構大きめな口調で話し掛けたのは、猛ダッシュでテンションが上がり届けた事実を主張したかったからです。
奥さんもさっき抜いたランナーと気付いた様子で、何度も何度も深く頭を下げて感謝を伝えて下さいました。
しっかりと私の目を見てお礼する母親に対し、落としたブランケットを無事届けられた満足感が湧いてきました。
引きずって走行していたことを伝え、落ち葉が付いたままのブランケットを手渡してその場を離れました。
人間って誰かのために行動すると不思議と嬉しい気分になるのです。
ランニング中に遭遇した出来事で喜んでもらえた体験ができたのも、それはそれでランナー冥利に尽きると思える晩秋のとある1日でした。
余談ですがロング走の最中に突然爆走したからか、その後は乱ペースとなり35km走り切ったものの内容は課題を残す結果となりました。
でもいいんです。人の役に立ったから。