マラソン大会の第一回目は避けたほうが無難、そんな声がランナー達から聞こえてきます。
いやいやいや、みえ松阪マラソンは1回目としては素晴らしい完成度を見せてくれました。
超寒い朝から元気な挨拶で迎えてくれた学生、要所々丁寧に考えられた運営、そして松阪市のみなさんのおかげで記憶に残る大会となりました。
ようやく開催された三重県初のフルマラソン、みえ松阪マラソンを振り返ってみたいと思います。
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コース
公式HPより
駅前から街中、田園の郊外、工業団地、そして山とトンネル、清流沿いとなんともバラエティ溢れるコースとなっています。
事前にコース図と動画をチェックして挑んだのですが、大小様々なアップダウンが積み重なり思っていた以上にキツかったです。
ベストタイムは狙いづらいコースで、間違いなく難コースの部類です。私にはそう感じました。
そしてたくさんのフルマラソン大会へ参加してきて、坂を登りきった頂点がゴ−ルゲートだったことは初めての経験でした。
記録が出づらいコースなので、エイドを食べ尽くしたりして楽しむことを主眼にする大会とも言えます。個人的にはウルトラマラソンのような旅感覚を十分味わえるコースだと感じました。
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みえ松阪マラソンのコース攻略
今週末に迫った今年最後のフルマラソンへ向けて対策はあるのか、そんなみえ松阪マラソンのコースについて詳しく調べ事前に考慮すべき特徴を頭に入れてみました。 大抵のランナーはフルマラソンを走る前には、予備知 ...
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風速6m以上
Yahoo天気より
(ゴール後)
今冬1番の寒波が襲来した大会週末、その影響で極寒+強風という悪条件とが重なりました。
スタートからゴールまで終始風にさらされた大会は稀で、向かい風、追い風、横風のどれかを常に受けていたためペース配分が困難なレースとなりました。
給水でドリンクが入った紙コップがごっそり飛んで行ってしまう強風でしたが、2022年だけがイレギュラーではありません。
鈴鹿おろし
冬に吹く鈴鹿山脈からの北西の季節風、乾燥した「空っ風」となり平野から伊勢湾へ吹き抜ける
鈴鹿おろしは毎冬の定番ですから、この風が強く吹くと田園地帯では遮るものがなくタフさが増します。2023年以降も天候チェックは欠かさず、強風への覚悟と対策が必要となります。
ただコース上には折り返しや曲がり角が多く、そのことで程良く風向きが変わり、長い時間向かい風や横風と格闘する訳ではない(追い風区間がある)ことも頭に入れておいて下さい。
エイドの肉がうまい
11月に参加したおかやまマラソンの豪華おもてなしに驚いた次の大会で、まさかそれを超えるくらい(同等です)のおもてなしを2連続で受けられるとは思いませんでした。
特色ある給食
伊勢うどん、松阪牛、松阪鶏、牛汁、トマト、オレンジジュース、スィーツ他
エイドがコース上に豊富に設置され、地元の名産を惜しみなく提供してくれます。そしてお肉は炭火焼にて提供、寒風の中走ってきてこれがマズいわけがありません。
待ちに待った24キロ地点、そこは立ち止まって松坂牛を食するエイドとなります。
サブ3.5ゾーンのランナーはほとんど取ってませんでしたが、私はベスト記録挑戦中でアドバンテージが微塵もないのに躊躇せず立ち止まりました。
記録重視のランナーは基本的に食事エイドを取ることはなく、この類の特産品はゴール後に提供してもらいたい(愛媛マラソンみたく)との思いはあります。
その際に皆に行き渡るようにゼッケンにチェックを入れれば、複数個取る横暴を防止できます。
もう一点ランナー目線の配慮としては、給水テーブルが長く前後横のランナーを気にせず、自分のタイミングで給水が取れたことが好印象でした。
夜の打ち上げも松阪牛
退屈でつまらないはずのトンネルが大変貌
31キロ付近から始まる阿波曽蛸路※トンネル内はプロジェクションマッピングで彩られていました。
それがあるのが分かってはいたのですが、何となくこんな感じだろうとの予想は良い意味で覆され期待値以上の光景がそこにはありました。
フルやウルトラで時たま現れる退屈な長い々トンネル、そこをプロジェクションマッピングで180°違う幻想空間へ変える演出は素晴らしい構想です。
虹で彩られたトンネル内に、松阪市の紹介と子供達からの応援映像で次々と畳み掛けてきます。
トンネルが直線なのも都合がよく、応援メッセージが飽きることなく視界に飛び込んできます。次代を担う子供達からの声援に感動しないおじさんはいません。
大会の細かな不満点を一気に吹き飛ばすトンネル演出、走った人にしか分からないトンネル走、しかも下り基調で気持ち良くこれは最高に感動的で記憶に残る演出となりました。
しかもフルマラソンの壁と言われる30キロ過ぎという場所が絶妙、これからキツい区間を迎える手前に感情を大いに揺さぶる演出、ここからもう一踏ん張り頑張る意欲が湧いて来ます。
そして毎年映像が変わっていけばリピーターが定着していくのではないでしょうか。
※「あわそたこじ」と読む
公式HPより掲載
応援メッセージ
ゴール前の坂にて
トンネル内での応援に加えて、終盤にはコース脇に小学生の手書き応援メッセージが数十メートルに渡って掲示されていました。
私自身終盤ペースが上がらず凹んでいた中で、何枚か読みながら足をゴールへ運びました。
目標タイムには到底届かない状況下であっても、腐らずに走り続けることができた一因がこういった温かい応援でした。
沿道の住民や自治会、幼稚園から高校生、そしてお年寄りまで松阪市民が一体となって大会を盛り上げようとする姿勢がとても印象的でした。
応援メッセージ
スタート&ゴール会場
スタート会場
私はブロック前方に陣取るため早めの行動だったため、スタート会場の手荷物預けからレース前の最後のトイレ、ブロック整列への流れは実にスムーズでした。
ただし早めに並んだブロックそのものが動線になってしまっていて、寒さに耐えて待機しているランナー間を、他ブロックへ向かうランナーが縫うように横切り混沌状態でした。
ゴール会場では久しく無かったイベントや飲食店が、大きな会場内に盛大に並びとても充実していました。コロナ禍が始まって2年半以上経ち、久々に見たキッチンカーでした。
瀬古利彦、野口みずき、川内優輝
手荷物袋が小さい件はすぐさま対応
事前に送られてきた手荷物預け袋が他のどの大会よりも小さい、これは遠征泣かせというものです。
冬の開催ですから着用していく衣類が多くて厚い、事前購入したお土産、リュックやスーツケースなどは入りません。
しかし大会前日にTwitterでは、追加のゴミ袋にて対応するとの情報が拡散されていました。この情報を直前にランナーに知らせるのなら、HP上で告知すべきでした。
第1回でありがちなことでしたが、ランナーの声を聞いてすぐに対応したところは最善策だったと思います。これはこの大会がワクチン接種証明・コロナ陰性証明が不要だったことにも通づるものがあります。
会場からのシャトルバス
朝は徒歩で定宿の東横インから会場へ向かったので乗車していませんが、行きも帰りも概ねスムーズでノンストレスな評価が多数でした。
ゴール後は寒い中しばらく会場にとどまって徘徊、ホテルに戻ろうとシャトルバス乗り場に向かったのは確か14時を過ぎていました。
そこで目にした長蛇の列に驚嘆し、これは1時間待ちまで覚悟したのですが、ひっきりなしのピストン輸送が繰り広げられすぐにバスが来る状況です。
なので列は常に動いてる状況、列の長さの割に待ち時間は少なく暖かいバスにすぐに乗れた印象です。
シャトルバスは綺麗な観光バス
ランネットの口コミ
フルマラソンを走り終えると、ランネットにて参加した大会のレポを読むのがルーティンとなっています。
他のランナーさんの意見を読んでいると、ポジティブなものからネガティブなものまで、大会の印象ってほんと個人で大分違うもんだと気付かされます。
・今までで1番エイドが充実
・プロジェクションマッピングが思ってた以上に感動
・ゴール後に配られるエコバッグが嬉しい
・帰りのシャトルバスがどこ行きなのかの案内看板がない
・エイドは参加者全員に行き渡るようにして欲しい
・飲食ブースで使える500円券が嬉しい
・トンネルで声を上げて泣いてしまった
・「給水所100m先」では近すぎ、補給ジェルを準備できない
・「給食」の内容表示がないから見逃してしまう
・サービスは足りているので、情報の提供を丁寧に
・寄せ書きや、椿の折り紙などから勇気をもらった
・魅力的な給食メニューだが、遅いランナーはありつけない
・スタートとゴール会場ともに屋内施設がない
ランネット2022年12月22日現在
坂のてっぺんがゴール
いや〜また参加したい度
ゴール後完走メダルやタオルをボランティアにかけてもらったのは、一体いつ以来でしょうか?
制限なしの声援やハイタッチは一体いつ以来でしょうか?
みえ松阪には以前のそれがありました。
丁寧に手間暇かけてアイディアを練り、他大会を視察して第1回の準備を重ねてきたことが随所に感じられました。
マラソンを趣味にして良かったと思える瞬間、それはトンネルを走っていたあの濃密な時間だけでも遠方から参加した甲斐があったというものです。
第1回目にして強烈な印象をランナーに与えたみえ松阪は、さらに来年以降ブラッシュアップし化け物大会となるポテンシャルを秘めた大会と言えます。
今年最後のフルマラソンはどこで締めようか?の選択肢の一つに間違いなく入ってくる大会に加わりました。
お伊勢参りもいい
ファンラン目的や記録にこだわらないランナーにとっては、至極のおもてなしを楽しめるマラソン大会と言えます。
そして最後に、風に煽られながら1km距離表示を支えてくれた若きボランティアたちのことを忘れません。
ランナーは各所で日向や追い風があり一息つく場がありました。しかしその場に佇むしかない彼、彼女達はさぞ寒かったはずです。多くの人の支えがあったからこそ、怪我一つなく無事ゴールできた事はしっかりと胸に刻みたいと思います。
いや〜また参加したい度
松阪城跡